稀勢“惨”連敗…横綱として26年10カ月ぶり屈辱で休場も

[ 2018年11月14日 05:30 ]

大相撲九州場所3日目 ( 2018年11月13日    福岡国際センター )

北勝富士(奥)に突き落としで敗れた稀勢の里。初日から3連敗となった
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 一人横綱の稀勢の里が窮地に立たされた。平幕・北勝富士に左差しを完封され、突き落としで敗れた。横綱の初日からの3連敗は15日制となった1949年夏場所以降で7度目。稀勢の里自身は小結だった09年初場所以来、9年10カ月ぶりの3連敗スタートとなった。初日から全く自分の形に持ち込めず、14日朝に出場するか否かを判断することになった。全勝は大関・高安、小結・貴景勝、平幕の栃煌山、佐田の海の4人だけとなった。

 一人横綱は東の支度部屋の一番奥で固まっていた。報道陣の質問には2日続けて無言を貫き、まげを直して報道陣の輪が解けると、上がり座敷で30秒ほどピクリとも動かなかった。何事かを考えるように座り込み、2分ほどたって立ち上がった時に、ため息をついた。午後8時15分ごろに福岡県大野城市の田子ノ浦部屋宿舎に戻ってきた横綱は、やはり無言。師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は4日目に出場するかどうかを明言せず、この日のうちには取材対応しない旨を報道陣に伝えた。

 北勝富士戦は徹底して左をおっつけられ、左半身のまま前に出られなかった。左の喉輪で上体を起こされ、右からの突き落としに簡単に転がった。6日の九重部屋への出稽古では、同じく出稽古に来た北勝富士をつかまえ、12番で9勝3敗。「勢いのある力士なので刺激を受ける」と納得していたが、逆に弱点をさらけ出し、15個目の金星配給となった。

 土俵下の藤島審判長(元大関・武双山)は稀勢の里の攻めに疑問を呈した。「左一辺倒だから警戒されて差せない。最終的に差せればいいのだから、右をもっと使えばいい。攻め方のバランスが悪い」と指摘した。

 横綱の初日から3連敗は1992年初場所の旭富士以来で、26年10カ月ぶりの不名誉な記録。15日制後の過去6度のうち、そのまま引退した旭富士を含めて5度が4日目に休場している。稀勢の里は極めて厳しい状況に追い込まれた。

 進退を懸けて臨んだ秋場所は10勝を挙げたが、光の見えない3連敗で再び苦境に陥った。横綱・貴乃花は7場所連続全休から再起した02年秋場所で12勝を挙げたが、翌場所は全休し、03年初場所で4勝4敗となった時点で引退している。横綱は成績不振が続けば引退を余儀なくされる地位。稀勢の里はかつて「いつもそのつもりでやっている」と話していただけに、進退について覚悟している部分はあるはずだ。在位11場所目で過去の皆勤が2度だけという横綱が、3連敗という結果をどう捉えるのか。国民的スターが重大な局面を迎えた。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 稀勢の里は当たり負けてはいないけど、引っ張り込むとかその後の動作がない。相手を動かしてしまっている。精神的にも苦しいが、横綱は苦しいもの。乗り越えてほしい。

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