暁斗4連勝!飾った地元凱旋勝利 平昌金しか見えない

[ 2018年2月4日 05:30 ]

ノルディックスキー複合W杯個人第13戦 ( 2018年2月3日    長野県・白馬ジャンプ競技場=ヒルサイズ=HS134メートル、距離10キロ )

W杯複合白馬大会で優勝し、ガッツポーズする渡部暁斗
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 W杯個人総合首位で平昌五輪代表の渡部暁斗(29=北野建設)が自身初の4連勝で、今季5勝目、通算14勝目を挙げた。前半飛躍は130・5メートルで首位に立つと、後半距離は2位のヤン・シュミット(ノルウェー)に1分12秒差をつけて圧勝。地元・白馬で臨んだ初のW杯で故郷に錦を飾った。五輪代表勢の山元豪(ダイチ)は7位、渡部善斗(北野建設)は8位だった。

 荻原健司氏に並ぶ日本人最多のシーズン6勝に王手をかけた。渡部暁は大歓声を味方に故郷白馬で初勝利を挙げ「普段は聞くことのない日本語の声援を受け、楽しかった。平昌に向けて、いい流れを生み出せている」と笑顔で歓声に応えた。

 前日の公式練習で着地後に転倒。首と胸に痛みがあり「本調子ではない」状態だった。前半飛躍では飛び出した瞬間に違和感を感じ「失敗したと思った」という。しかし飛距離は落ちず、ヒルサイズまで3・5メートルに迫り、飛型点はトップの57・0点。転倒の影響は全く感じさせなかった。2位に16秒差をつけて出た後半距離でも快走。終わってみれば1分12秒6の大差をつける圧巻のレース運びを見せた。「特殊なコースでみんな警戒したから、意外と差が縮まらずに終わったのでは」と淡々と独り旅を振り返った。

 これでW杯4連勝と絶好調だが「平昌は平昌」とW杯と五輪にはっきりと線を引く。銀メダルだった14年ソチ五輪以上の成績を期待される中で「もし有言実行できなくても僕の人生が終わるわけじゃない。(金メダルが)獲れなくても、次の4年チャレンジすればいい。ある意味諦めがついているから全力で臨める」と達観している。これまでの経験を通じて到達した無我の境地が渡部暁を支えている。

 課題は独走のレース展開が増えたため、距離で他選手と競る機会が減ったこと。それでも「これまでいろいろなレースで経験を積んできた。引き出しの記憶をたぐり寄せながら、考えられる。そこが強み」と不安はない。荻原氏からは「守りに入るな」との助言も受けた。

 白馬北小時代に観戦に訪れた98年長野五輪の会場で、通算54度目の表彰台に立った。これまでは2、3位が多かっただけに「勝利数を伸ばせていることが素直にうれしい。勝てるうちにいっぱい勝ちたい」と笑った。きょう4日の第14戦でも連勝し、五輪前最後の実戦を締めくくる。

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