石川遼 新選手会長就任の舞台裏…米挑戦の夢封印、日本ツアー再建へ

[ 2018年1月19日 10:30 ]

ジャパンゴルフツアー選手会理事役職を発表し、手を合わせる(左から)薗田峻輔副会長、石川遼会長、宮里優作副会長、深掘圭一郎副会長
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 男子ゴルフの石川遼(26=CASIO)が新選手会長に選出された。1月5日に都内のホテルで選手会理事会が開かれ、理事による互選で決定した。任期は2年間。26歳110日での会長就任は史上最年少となる。

 理事会終了後、石川は、副会長の宮里優作、深堀圭一郎、薗田峻輔とともに記者会見に出席し「日本ゴルフ界のために全力を尽くす」と決意を語った。

 男子ゴルフで屈指の人気を誇る石川はツアーの人気回復の切り札と言える。しかし、選手会長就任はすんなり決まったわけではない。

 16年1月に就任した宮里優作前会長はイベントでPR役をこなし、試合会場に写真撮影エリアを設ける新提案を行うなどツアーのために尽力した。

 選手からの人望も厚く続投を望む声もあった。しかし、18年は積極的に海外に挑戦するため任期満了での退任を希望した。後任として30歳代の中堅プロ数人が候補に挙がった。しかし、調整は難航した。

 17年、男子ツアーの国内開催24試合の総観客数は29万2805人。2大会で最終日が中止になったことが響き、前年から5万6876人減った。1試合平均の観客数は1万2200人で前年から2370人も減少した。

 テレビのゴルフ中継を見る人も少なくなった。最終日の平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は前年から1・8ポイント減の3・6%にとどまった。

 選手も個々に危機感を持ってはいる。ただし選手会長になって自ら先頭に立ってツアーを立て直そうという人は現われなかった。そうした経緯で宮里が年明け、弱冠26歳の石川に会長就任の打診を行ったのだ。

 石川は本気だ。生半可な気持ちで選手会長を引き受けたわけではない。将来的には米ツアー再挑戦を目指しているが、選手会長在任中は日本ツアーに専念する意向。米下部ツアーへのスポット参戦も取りやめる。自らの夢を封印してツアー再建に力を注ぐ構えだ。

 しかし、1人の力でできることは限られている。石川選手会長に託すのではなく、選手1人1人が自らツアーを立て直す気概を持って行動することが重要なのだ。切り札を切った以上、失敗は許されない。ツアーメンバー全員の覚悟が問われる。(専門委員)

 ◆福永 稔彦(ふくなが・としひこ)1965年10月8日、宮崎県生まれ。89年入社。サッカーのW杯を3回、ゴルフのマスターズを3回取材。

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