日馬、混戦場所制した8度目賜杯 満身創いも「気迫」白鵬討ち

[ 2016年7月25日 05:30 ]

日馬富士は本割で白鵬を下し優勝を決めパレードで万歳(左は照ノ富士)

大相撲名古屋場所千秋楽

(7月24日 愛知県体育館)
 単独トップで千秋楽を迎えた横綱・日馬富士が、結びで白鵬を寄り切って13勝2敗とし4場所ぶり8度目の優勝を飾った。名古屋場所は3度目のV。大関・稀勢の里は大関・豪栄道を押し出して12勝3敗。秋場所の横綱昇進に望みをつないだ。豪栄道は負け越しで、来場所はカド番となった。大関・照ノ富士は関脇・魁聖を下してカド番を脱出した。

 勝った日馬富士が一瞬、顔をしかめた。白鵬を寄り切った左膝が崩れそうになる。8度目の優勝を決めた肉体はもはや限界。それでも4場所ぶりの賜杯が痛みも苦しみも忘れさせてくれた。「素直にうれしい。一日一番の積み重ねが千秋楽につながった」

 立ち合いで左に動き上手を狙う。いったん離されたもののタイミングよく飛び込んで左上手を引き、頭をつける得意の体勢。最後は巻き替えてもろ差しにして一気に寄り切った。

 支度部屋では、14日目の豪栄道戦で膝をひねったことを明かした。ただ、「悔いのないように、それだけを考えて勝負にいきました」と千秋楽の土俵へ。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)も「今場所は気迫が勝っている」と、集中力に最敬礼した。

 ケガの履歴書は長い。古傷の両足首に加え、昨年5月に右肘を手術し遊離軟骨や骨棘(こっきょく)を約10個取り出した。その影響で昨年の名古屋場所を途中休場し、秋場所も全休。九州場所で復活Vを飾った後、春場所は9勝で夏場所は10勝。世間の話題とは無縁の場所にいた。

 ただ、故障と付き合うすべは、誰よりも心得ている。右肘のサポーターや足首のテーピングは「脳に安心の信号を送るため」という。以前は外食が多かった地方場所も、今場所は部屋でちゃんこを取ることが多かった。昨年から酸素カプセルを導入。暑い名古屋で疲労回復に一役買った。稽古場で体に振りかける清めの塩も、かつてと意味合いが違う。「昔は勝てますように。今は、ケガしませんように」

 日馬富士には、しこ名をもらった出雲大社相模分祠(し)の草山清和宮司に誓った2つの目標がある。横綱を長く務めること、そして優勝10回だ。この日、名古屋に駆けつけた同宮司も「ぜひ達成してほしい」とエールを送った。

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2016年7月25日のニュース