稀勢12勝でVならずも 秋場所に綱取りつながった

[ 2016年7月25日 05:30 ]

押し出しで豪栄道を破った稀勢の里

大相撲名古屋場所千秋楽

(7月24日 愛知県体育館)
 またしても優勝に届かなかった。それでも稀勢の里の表情は晴れやかだった。豪栄道との大関対決は強烈な左おっつけで相手を後ろ向きにして完勝。「集中してやることだけを考えて。最後はいい感じで締めくくれた」。最後まで優勝の可能性を残しての12勝。堂々の成績で15日間を終えた。

 審判部は昼の話し合いで、稀勢の里が優勝すれば、八角理事長(元横綱・北勝海)に横綱昇進に関する理事会の開催を要請することを決めていた。日馬富士が本割で勝ったため初の優勝決定戦進出すらならなかったが、12勝を挙げたことで秋場所も綱獲りが懸かることになった。二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は「来場所につながった。12勝は立派」と評価。昇進条件については「番数じゃなく、まずは優勝」と成績にかかわらないことを明かした。八角理事長も「横綱になるには優勝が欲しい」と説明した上で「稽古していればチャンスは来る。我慢して我慢して花開くんじゃないの」と期待を込めた。

 春場所から13勝、13勝、12勝。大関での3場所連続12勝以上は、15日制となった49年夏場所以降で11人目(12度目)だが、過去の10人のうちで横綱に昇進していないのは小錦(91年九州~92年春)だけ。日馬富士、鶴竜は横綱昇進後も3場所連続12勝以上がないだけに、稀勢の里は横綱級の成績を残したと言える。

 「特別なことができるわけじゃない。巡業から体をつくって準備していきたい」。横綱につながる優勝だけを目指して、稀勢の里はさらに鍛錬を続ける。(佐藤 博之)

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2016年7月25日のニュース