吉田沙保里も驚き…露ドーピング余波で早朝6時から抜き打ち検査

[ 2016年7月25日 05:42 ]

登坂(左)とスパーリングし笑顔を見せる吉田

 ロシアのドーピング余波が日本を襲った。リオデジャネイロ五輪の女子レスリング代表が24日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで合宿を公開。栄和人監督(56)は、この日の早朝6時、53キロ級の吉田沙保里(33=フリー)ら4選手に抜き打ちのドーピング検査が入ったことを明かした。

 開幕まであと11日。4年に一度の祭典に水を差すドーピング問題の影響は、すでに日本にも届いていた。この日、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)による検査が実施されたのは吉田のほかに48キロ級の登坂(東新住建)、63キロ級の川井、69キロ級の土性(ともに至学館大)の4人。午後の練習開始前に練習生を含む参加者全員の前で事実を伝えた栄監督の表情は、硬くこわばっていた。

 吉田によると、この日の検査は「枠外」と呼ばれる完全な抜き打ち検査。通常はJADAから指定時間に在宅するように指示されて検査を受けるが、予告されていた時間外に検査を受けたという。吉田も「採血は初めて受けた」と言い、検査方法も厳しさを増している。過去3度の五輪前にはなかった、緊迫した空気があることを示唆した。

 競技への影響も大きい。吉田の53キロ級にはロシア人の選手のエントリーがないが、土性の69キロ級にはロンドン五輪(72キロ級)と昨年の世界選手権69キロ級金メダリストのボロベワが君臨する。出場停止が決まった場合、メダル争いに大きな影響が出るが、当事者の土性は「いてもいなくても勝つつもり。気にしない」と慎重に言葉を選んだ。

 世界のスポーツ史にとっても最大級となる汚点となりうる問題だけに、吉田も一アスリートとして、「シンクロとか強い競技が出ないのはかわいそうだが、組織ぐるみなら罰は仕方ないかな…。何とも言えない」と話した。いずれにしても、クリーンにメダルを目指す。日本の選手たちが進むべき道は、その一本だけだ。

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2016年7月25日のニュース