協会側の準備不足露呈…畠山 苦渋のサンウルブス漏れ

[ 2016年1月4日 08:00 ]

畠山健介

 歯切れの悪い言葉の端々に、苦渋の決断だったことをうかがわせた。

 「今回は縁がなかった。僕もプロとして飯を食っているので、条件が合わなかったということ。日本代表もヘッドコーチが変わり、選手選考の条件も変わる。19年はがっつりした意欲があるわけじゃないが、競技を続ける以上はトップに行きたいとも思う」

 声の主は、ラグビー日本代表の右プロップ畠山健介(サントリー)。先月26日、ことしから世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」に参戦する日本チーム「サンウルブズ」のメンバーから名前が漏れたことを尋ねると、そんな返答が返ってきた。

 その5日前に東京都内の会見でスコッド入りを発表された選手は計34人。リーチ(東芝)、五郎丸(ヤマハ発動機)ら海外でのプレーを選択した選手を除けば、15年W杯日本代表の大方はメンバー入りするものと考えられていたが、実際にはそうではなかった。8月に控えるリオデジャネイロ五輪に出場する7人制日本代表入りを目指す藤田(早大)、福岡(筑波大)はオファーを断ったというが、畠山以外にも条件面で折り合わずに参戦を見送った選手が複数いると伝わってきている。

 SR参戦はホスト国となる19年W杯日本大会へ向けた選手強化策の切り札とされている。W杯には2大会連続で出場した畠山も、19年大会は34歳で迎える。レッズ(オーストラリア)入りを決め、今後の日本代表入りには態度を保留したままの五郎丸が「エディージャパンがそうだったように、4年後にピークが来る選手を育ててほしい」と話すように、先行投資にも理解できる。しかしそれならば、他にもスコッド入りすべき若手選手はたくさんいた。最大の問題は、今回の34人が一定の評価基準だけで選ばれていないこと。昨年8月31日の保有選手名簿の提出期限に向けて、1カ月を切ってから急きょオファーを出した選手も含まれるというから、チーム運営側=日本協会の失態と言わざるを得ない。

 選手を選考するディレクターの立場にあったエディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチが職を辞すなど、さまざまな原因はあるが、すべては協会側の準備不足が原因だ。思えば会見で配られた資料には、外国人選手の国籍や所属中チームの情報すら掲載されていなかった。よもや、SRに参戦さえすれば選手強化が果たされると考えているわけではないだろう。最大の目的が何で、そのためにどう行動すべきか。エディーが警鐘を鳴らして日本代表から去ったように、協会が本気でリーダーシップを取らなければ、15年大会を上回る結果は得られないと考えるべきだ。(阿部 令)

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2016年1月4日のニュース