スペイン紙記者の見る錦織 抜群安定感、間違いなく全仏V候補

[ 2015年5月10日 05:30 ]

スペイン・アス紙のミンゲス記者

テニス マドリード・オープン

(5月8日 スペイン・マドリード)
 スペイン紙アスのヘスス・ミンゲス記者(41)がスポニチ本紙に特別寄稿。日本のエース、錦織圭(25=日清食品)を全仏オープン(24日開幕)優勝候補に挙げた。

 錦織は研ぎ澄まされたナイフのようだった。スペインのアイドルであるフェレールは昨年のリベンジを果たせず、日本人の力強いショットの前に屈することになった。

 錦織はフェレールとの一戦で、とても実践的かつ消耗を抑えるプレーを見せた。打ち合いに持ち込まれることを断固として拒否しつつ、角度のあるアングルショットで相手をコートの端から端へと動かして呼吸困難の苦しみを味わわせた。22本の決定打の陰には23本の凡ミスを犯す大胆さがあったことも見逃せない。

 スピンの利いたハイボールに対して後ろに下がるのではなく、前に向かっていくことで無力化した。両手打ちのバックハンドで攻める姿は、世界No・1のジョコビッチと重なり合うようだった。あまたいる良い選手と偉大なプレーヤーを隔てる決定的な要素、つまり抜群の安定感が備わっていることは十分に示した。

 そして真に素晴らしかったのは、満ちあふれる自信だ。自信から生じる落ち着きはフェレールをストレートで下す原動力となった。そのプレーぶりは観衆の心を捉え、畏敬の念さえ抱かせるほど。この日本人と「ラ・カハ・マヒカ」(今大会のセンターコートの名称で、魔法の箱の意)の相性はとても良いようだ。

 テニスはメンタルのスポーツで、錦織は偉大なことを成し遂げられる存在に成長した。マドリードに驚きをもたらす彼は、ローランギャロス(全仏オープン)でも間違いなく優勝候補である。(テニス担当)

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2015年5月10日のニュース