稀勢「運ですね」2敗キープ 日馬がまげつかみ反則負け

[ 2014年5月25日 05:30 ]

日馬富士(左)が稀勢の里のマゲをつかみ反則負けに

大相撲夏場所14日目

(5月24日 両国国技館)
 大関・稀勢の里が“命拾い”した。2敗同士の対決は、横綱・日馬富士がまさかのまげつかみで、反則勝ち。逆転優勝への望みをつないだ。賜杯争いは横綱・鶴竜を寄り切った1敗の白鵬と、稀勢の里の2人に絞られた。千秋楽で白鵬が日馬富士に敗れて、稀勢の里が鶴竜に勝てば優勝決定戦となる。平幕・勢は関脇・豪栄道に敗れて3敗目となり、V争いから脱落した。
【14日目取組結果】

 負けた方が脱落する2敗対決。誰がこんな決着を予想しただろう。会心の立ち合いを見せたのは稀勢の里だ。日馬富士は後退し、とっさにはたくと、稀勢の里がバッタリ土俵に手をついた。しかし、この時、バランスを崩していた横綱の左手は、たまらず稀勢の里のまげに触れていた。12日目に鶴竜が豪栄道にまげをつかまれて反則勝ちしたのに続く珍事。満員札止めの館内は騒然となったが、結果に戸惑うように座布団はちらほらと舞っただけだった。

 稀勢の里は白鵬との1差を維持したが「運ですね。たまたま、まげだった」と渋い顔つきで話した。軍配は横綱の足が出たと判断して稀勢の里に上がった。すかさず土俵下の湊親方(元幕内・湊富士)が手を挙げた。審判団が約2分間、協議した際にそこでまげつかみが問題となった。「日馬富士がまげをつかんでおり、行司軍配通り稀勢の里の勝ちと致します」と、朝日山審判長(元大関・大受)が館内にアナウンス。横綱の反則負けは03年名古屋場所で朝青龍が旭鷲山戦で犯して以来、史上2度目の珍事となった。

 ただ、稀勢の里自身は協議の内容を把握しておらず、「俵の上にしっかり(相手の)足があった」と白星に半信半疑。「軍配差し違えを覚悟したか」と報道陣から聞かれると、うなずいた。

 命拾いした形の稀勢の里は、支度部屋で「気持ちだけは切らさないようにしたい。変わらず、です」と言い聞かせた。稀勢の里が初優勝するには鶴竜に勝つのが最低条件。優勝すれば当然、次の名古屋は綱獲り場所。転がり込んだ勝利を無駄にはできない。

 ▼北の湖理事長(元横綱) (稀勢の里が準優勝しても)初場所が負け越し、春場所が9勝。(名古屋場所の綱獲りは)厳しい目で見られても仕方がない。

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