村上主将、涙の決意!被災児童からの“がれきメダル”に感激

[ 2012年7月22日 06:00 ]

記者会見での被災地の話題に涙をこらえる村上

 ロンドン五輪開幕まであと6日となった21日、日本選手団の結団式と史上初となるファン参加型の1万人規模の壮行会が東京・国立代々木競技場などで行われた。壮行会では、東日本大震災の被災地の子供から、がれきで作られたメダル形のお守りが選手、関係者に贈られた。日本選手団の主将を務める男子やり投げの村上幸史(32=スズキ浜松AC)は涙で決意表明した。

 思わず、村上の目から涙があふれた。壮行会後に行われた会見。がれきで製作されたメダル形のお守りについての感想を問われると「あの大震災から1年たって、初めて迎える五輪になる。被災した子供たちからのメダルは、非常に…」と言って、言葉が詰まった。

 目を拭ったが涙は止まらない。「何というか、今までに感じたことのない思いが伝わってきた。そういう人たちを笑顔にできるのは私たち選手。堂々とした姿で、皆さんの記憶に残る姿を披露したい」と結ぶと、下を向いて顔を拭った。

 今回の壮行会は、史上初めてファンが参加。1万人規模の会は徳光和夫さんの司会で、笑いあり、歌ありと和やかに進んだ。サプライズとなったのが「被災地からのプレゼント贈呈式」だった。選手たちを応援するため、宮城県の石巻市と南三陸町の小中学生が震災がれきの流木で選手団518人分のお守りを製作。この日は子供たちの代表31人が出席し、壮行会に参加した選手ら259人に手渡した。それぞれにメッセージ入りのリボンがつけられ、村上のものには「応援に行きます!頑張ってください」と書かれていた。自身も4歳になる1児の父親だけに、被災地の子供を思うと自然と涙があふれた。

 壮行会の前には結団式が行われ、出席された皇太子さまからは「皆さんの活躍する姿はとりわけ震災からの復興に取り組む人々を勇気づけるものになると思います」と激励を受けていた。それだけに、村上も期するものが大きかった。お守りを手にし「本当に感動した。頂いた以上はお返ししないといけない」と決意表明した。27日の開会式は競技(8月8日予選、11日決勝)優先のため欠席し、23日からは都内でディーン元気との合同合宿を行う。合言葉は「お返しのメダル」だ。

 日本選手権でディーンに13連覇を阻止され、今月8日の南部記念も自己ベストに6メートル以上も及ばない77メートル32に終わった。だが、日本選手権で痛めた右肘は回復傾向にある。あとは気持ちだけだ。「たくさんの声援を胸に秘めて、力を発揮してきたい」。涙が乾いた後の主将の目には力強さが戻っていた。 

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