早大ぼう然…「荒ぶる」目指す“権利”消えた

[ 2011年1月10日 06:00 ]

終了の瞬間にうなだれる早大フィフティーン(手前)の奥で喜ぶ帝京大フィフティーン 

ラグビー全国大学選手権決勝

(1月9日
国立競技場)
 【早大12―17帝京大】会見場に現れた早大・辻高志監督(33)の目は真っ赤だった。「自分たちのラグビーができず、チームを方向付けられなかった力のなさを感じる」。バックスに回せばトライは取れる。その強みは、徹底的にFWでボールを保持し、7割近い支配率をマークした帝京大に完封された。

 キックを蹴らず、バックスに極力回さない。勝ちにきた帝京大FWの戦術は執ようだった。有田主将は「想定内だった」と言い、辻監督は「我慢すればほころぶと思った」という。だが、マイボールがなければ攻撃はできない。最後までその状況は打開できなかった。

 少ないチャンスも生かせなかった。バックスが突破してもラックでボールを奪われたり、反則を犯した。帝京大の1トライを上回る2トライはともにバックス。「攻撃すればいける」とSO山中は振り返ったが、あまりに回数が少なすぎた。

 4年生のロック中田は「終了の笛の瞬間に真っ白になった。もう、荒ぶる(日本一の時だけ歌う部歌)を目指す権利がなくなった…」とぼう然と話した。5点という点差以上のFWの差に、ショックは隠せなかった。

 来季は4年生がごっそりと抜ける。2年生フッカー伊藤は「この負けは絶対に忘れない」と唇をかんだ。大きく強いだけでなく、したたかさもある。明大と色合いが違う強力FWとどう戦うか。日本が目指すべきラグビーを体現する自負も、早大が誇ってきた伝統だ。

 ≪大学スポーツ3冠ならず…≫明治神宮大会を制した野球部、箱根駅伝を制した競走部に続く頂点を目指したが、史上初の“大学スポーツ3冠”はならなかった。WTB中浜は「野球も優勝しているし、箱根駅伝には刺激を受けた」と意気込んだが、及ばなかった。ラグビー部は、野球部、競走部、サッカー部とともに大学の最重点強化種目。冬に行われる人気競技の結果は入学試験の志願者数にも影響を及ぼすという。昨年度は明大に志願者数で1位を譲っていただけに関係者は「優勝すれば受験シーズンに弾みがつく」と期待したが、無念の結果となった。

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2011年1月10日のニュース