福見まさかの銀…“疑惑の判定”に泣く

[ 2010年11月17日 06:00 ]

<柔道女子48キロ級決勝>攻め続けた福見(左)だったが…

 疑惑の判定で苦渋をなめさせられた。広州アジア大会の柔道女子48キロ級決勝で、世界ランク1位の福見友子(25=了徳寺学園職)は地元・中国の呉樹根(23)と対戦。終始、攻め続けた福見が金メダル確実と思われたが、旗判定の末に1―2で敗れ銀メダルに終わった。10月に引退した谷亮子(35)の後継者の1番手であるはずの福見にとっては、2連覇を逃した9月の世界選手権に続き痛恨の黒星となった。

 疑惑まみれの金メダルが決まった瞬間、会場が揺れた。延長を戦い抜いても、決着がつかなかった女子48キロ級決勝。2―1で旗判定を制したのは、攻め続けた福見ではなく中国の呉樹根だった。レバノン人の副審は福見の青い旗を挙げたが、声援に押されるようにモンゴル人の主審、韓国人の副審が白い旗を挙げた。「自分の中では勝っていると思った」。厳しい現実を受け入れ切れない25歳は、ただひたすら汗をぬぐった。
 呉は準決勝の勝利も、限りなく怪しい内容だった。韓国選手の内股を浴びた流れで、投げを返した。主審は韓国選手の一本を取ったが、判定の正誤をチェックする審判団(ジュリー)がこれを覆して呉が一本勝ち。決勝では腰を引いたまま技を出さない呉に指導もなく、逆に福見は小内刈りなど積極的に仕掛けていた。「100人見たら100人、福見が勝ったと思う。ああいう判定をしてたら中国が疑われる」と全柔連・吉村強化委員長は怒り爆発。準決勝で“暗躍”したジュリーが、決勝では機能を果たさなかった。全柔連として正式な抗議はしないが、疑惑の旗判定へのジュリーの見解を問いただすという。
 ただ、はっきり分かる形で勝っていれば問題なかったのも事実だ。「これで勝ったとしても満足じゃない」と福見。五輪連覇などの実績を残した谷亮子参院議員が、10月15日に現役引退を発表。「谷さんの引退にかかわらず(48キロ級は)昔から注目される階級だと思うので、自分のことに集中してやってきた」。柔道界の巨星が畳を去った後の試合で存在感をアピールするはずが、疑惑判定がクローズアップされる結果に。「投げることができずに悔しい。原因をじっくり考えたい」。48キロ級を背負う存在になるには、苦い経験を糧にするしかない。

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2010年11月17日のニュース