さくら泣いた…大逆転で初の賞金女王に!

[ 2009年11月30日 06:00 ]

<LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ・最終日>優勝し賞金女王に輝いた横峯さくらは涙ぐむ

 横峯さくら(23=エプソン)が神懸かり的な逆転優勝で初めての賞金女王に輝いた。女子ゴルフツアーのLPGAツアー選手権リコーカップ最終日は29日、宮崎県宮崎市の宮崎カントリークラブ(6508ヤード パー72)で行われ、横峯は5打差の5位からスタートして4バーディー、1ボギーの69でホールアウト。通算6アンダーまでスコアを伸ばして大接戦を制し、賞金ランキングでも史上最大となる約4400万円差をひっくり返して諸見里しのぶ(23=ダイキン工業)を逆転した。今季獲得賞金は1億7000万円を超え、06年の大山志保を上回る史上最高賞金額となった。

 3人の候補を残した神様が最後は横峯にほほ笑んだ。新女王は大粒の涙を流した。
 「信じられない。でも本当にうれしいです。最終戦を迎えるまでは1年が早いなと思ってたけど、この4日間はすごく長く感じました」
 し烈な女王争いの最終決戦。バーディー発進でも波に乗れず、前半を終えて首位の飯島に3打差をつけられた。だが、14番パー4でグリーン手前のラフから「少し強かった」というアプローチがカップに吸い込まれてチップインバーディー。これで流れが変わった。
 続く15番パー4では、第2打がグリーン手前のバンカーをぎりぎりで越えると、ラッキーなはね方をしてピンに一直線。あと一転がりでイーグルという一打に、日本女子プロゴルフ協会の樋口久子会長からは「神懸かりだったよ」と声をかけられた。
 通算6アンダーの首位タイでホールアウト。後続の諸見里の追撃は一歩及ばず、1打差にいた最終組の飯島、服部の2人も18番のバーディーパットを外した。その瞬間、プレーオフに備えて練習していた横峯にキャディーのジョン・ベネットさん(37=ニュージーランド)が告げた。「You win」。ぽかんとした表情は、すぐに泣き顔に変わった。
 「プレッシャーに強い人、弱い人がいると思う。わたしは弱い人なんです」。女王獲りを宣言して臨んだ今季は6月までに3勝。しかし、徐々にモチベーションがプレッシャーに変わり、その後は3カ月も勝利から遠のいた。9月の時点では諸見里に約4400万円の大差をつけられた。
 「もうゴルフ辞めたい」。家族にはそう愚痴ることもあったが、賞金女王の公約を撤回したらプレッシャーが消えた。9月からこの日を含めて再び3勝。「神懸かってないとできない。絶対に実力だけじゃできなかった」と地元宮崎で5打差からの逆転優勝、そして約4400万円差をひっくり返す史上最高金額逆転劇を成し遂げた。
 通算15勝目を挙げ、さらに「賞金女王+メジャー1勝」で5年間のシード権も獲得した。それでも米ツアーより国内一筋。「男子は25勝ですよね。女子は20勝でもいいと思うんだけど」と30勝が条件となる永久シードも次の目標になる。「ショットのバリエーションも増えてきたし、来年は楽しみだな」。女王らしくそう語った後、「でも(プレッシャーかけちゃ)ダメですね」と慌てて首を振った。ふわふわとして気負いのない、いつもの横峯らしい笑顔だった。

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2009年11月30日のニュース