大山 母に良薬…逆転で今季初優勝

[ 2008年10月27日 06:00 ]

今季初勝利を飾った大山は仲間に胴上げされる

 スポニチ主催女子ゴルフツアーマスターズGCレディース最終日は26日、兵庫県三木市 マスターズゴルフ倶楽部(6510ヤード、パー72)で行われ、2位で出た06年の賞金女王、大山志保(31=オンワード樫山)が逆転で今季初優勝を飾った。3バーディーの69で回って通算7アンダーとし、昨年7月の明治チョコレートカップ以来、1年3カ月ぶりの勝利でツアー通算11勝目。ルーキーの桜井有希(19=呉工業)は通算2アンダーの214で、横峯さくら(22=エプソン)らと並ぶ4位と健闘した。

【マスターズGCレディース最終R


 大山の大きな瞳に涙はなかった。最終18番。残り5メートルのバーディーパットをねじ込むと、左手でガッツポーズをつくった。李知姫らを振り切っての会心の勝利。「本当にうれしい。勝って涙が出ないのは初めて。今まで負けたり、ひじが痛かったり、母のことがあったり、すごく泣いてきたから」。1年3カ月のつらく長いトンネルの先にはじける笑顔が待っていた。
 「母はなかなか会場に来られないから、優勝する姿を(テレビで)見せて、元気をあげたかった」。実は母・ユリ子さん(66)が1年前のこの時期に動脈瘤(りゅう)を患い、今年2月に16時間にも及ぶ大手術を受けた。手術は成功したが1カ月の入院。その後、宮崎の実家に戻ったが、手術の影響で左足に障害が残っているという。2週前には家族で実家近くの神社で必勝祈願を行い、前夜は母に「優勝するね」と電話し、約束を果たした。
 大山自身も6月に左ひじ、その後、右ひじも痛める苦しいシーズンだった。「痛いと言うと両親が心配する」と8月のCATレディースを負傷欠場するまでケガを隠し通したが「気持ちが空回り」して結果は出なかった。そんな大山を奮い立たせたのが「強い気持ちを持って勝ちなさい」という王貞治氏の助言。大会前の23日に個人タクシーの運転手を務める父・晃さん(68)を通じてアドバイスを受け、「勝つんだ」と手帳と日記に書き込んで強気を心がけた。李知姫が16番で先にバーディーを奪い1打差に詰め寄られた直後に、大山も4メートルのバーディーパットを入れて再び2打差と突き放した。「強い気持ちが最後まで続いた。気持ちでここまで変わるんだ」と振り返った。
 次は11月7日開幕の日米ツアー共催のスポニチ主催ミズノクラシックに出場する。大山は来季の米ツアー挑戦をかけて12月の最終予選会に出場するが、ミズノクラシックで勝てば米ツアー出場の権利をその時点で手にできる。「ミズノはみんなにチャンスがある。精いっぱい頑張りたい」。母にもっと元気を与えるため、そして自分の夢のために今季2勝目に照準を定めた。

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2008年10月27日のニュース