新旧「世」ホルダー対決はボルトの勝ち!

[ 2008年6月30日 06:00 ]

男子100メートル決勝で、2レーン隣のアサファ・パウエル(右端)に視線をやる余裕を見せるウサイン・ボルト(左端)

 北京五輪選考会を兼ねた陸上のジャマイカ選手権(キングストン)は28日に男子百メートル決勝を行い、世界記録保持者のウサイン・ボルト(21)が9秒85で優勝。前世界記録保持者のアサファ・パウエル(25)は9秒97で2位に終わった。

 向かい風0・1メートルの条件。「前半だけしっかり走った」と言うボルトは決勝にもかかわらず80メートルすぎで完全にスピードを落とした。それでもタイムは9秒85だった。

 5月31日にニューヨークで樹立した9秒72の世界新記録には及ばなかったが、「五輪出場権を得るためにここに来た」と1メートル96の長身スプリンターは記録には無関心。ジャマイカ選手権は新旧の世界記録保持者の初対決として注目が集まったが「ずっと“対決なんかじゃない”と言い続けてきた。アサファ(パウエル)と僕は友人なんだ。最初から真剣勝負で対決するつもりはなかった」と打ち明けた。

 29日には世界選手権で2位となった二百メートルに出場。その後は欧州を転戦する予定だ。ミルズ・コーチは「百メートルも前向きに考えているが、五輪出場種目は8月まで決めない」と結論を先送り。しかし、国内の世論は確実に五輪の2冠を後押ししている。百メートルと二百メートルの両種目を五輪で制覇したのは過去7人。カール・ルイス(米国=84年ロサンゼルス大会)以来、史上8人目となる快挙への期待がボルトには懸かっている。

 ≪パウエル2位も余力あり≫9秒97で2位に終わったパウエルは「代表に決まればそれでいい。50メートルまで真剣に走った」とこちらも余力を残してのフィニッシュ。4月に痛めた胸の筋肉が完治しておらず「あと3週間ぐらいで自己ベスト(9秒74)を出せるようにしたい」と語った。全米選手権の予選でゲイが9秒77をマークしたことを伝えられると「五輪で決着をつければいい」ときっぱり。世界選手権で3位に敗れた雪辱を誓っていた。

 ≪ブラウン落選…大波乱≫ジャマイカ選手権女子百メートル決勝は大波乱。世界選手権優勝のベロニカ・キャンベル・ブラウンが10秒88をマークしながら4位に終わり、3位までに与えられる五輪出場権を逃してしまった。レース後は無言で立ち去り、場内は騒然。ジャマイカ陸連も「規約では落選だが、再協議した上で30日に正式発表する」と困惑気味だった。

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2008年6月30日のニュース