桃子&藍の“後輩”有村悲願の初V

[ 2008年6月30日 06:00 ]

通算14アンダーでツアー初優勝した有村智恵

 女子ゴルフツアーのプロミス・レディース最終日は29日、兵庫県加東市のマダムJゴルフ倶楽部(6514ヤード、パー72)で行われ、プロ3年目の有村智恵(20=日本ヒューレット・パッカード)が悲願の初優勝を飾った。前日の首位から4バーディー、ノーボギーの68で通算14アンダーにスコアを伸ばし、2位と5打差で快勝した。上田桃子と同じ熊本出身、宮里藍と同じ宮城・東北高を卒業。日本を引っ張る先輩2人が認める20歳220日のホープが、ツアー施行後では史上6番目の年少初優勝を果たした。

【最終R成績】

 泣かないはずだったのに、やっぱり我慢できなかった。「絶対に泣かないでおこうと思っていたのに駄目でしたね」。2メートルのウイニングパットを決めた時は笑顔だった。しかし、親友の原や優勝を争った三塚らが駆け寄ってくると、有村のつぶらな瞳は涙でいっぱいになった。
 大先輩をねじ伏せた初優勝だった。「不動さんと戦えて、ノーボギーでしっかりと回れたのは本当に自信になります」。同じ熊本出身の不動には、小学生の時に練習場でサインをもらったこともある。優勝43回の大先輩との最終組。前半はパットが決まらず、3打差をあっさり追いつかれた。
 そんな苦境で支えとなったのも同郷の先輩だった。前夜10時、眠りにつこうとしてメールの着信に気づいた。「あした頑張れよ」。全米女子オープンに出場中の上田桃子からだった。単独トップで最終日を迎えるのは初の経験。「どういう気持ちで戦えばいいんだろう。こんな時に藍先輩や桃子先輩がいてくれたら」と思っていた絶妙のタイミングだった。
 そう返信すると「何を考えてもいいからプラス思考。初優勝で緊張しない人なんていない。安心していっておいで」と返事がきた。その言葉を信じて耐え抜き、後半に3つスコアを伸ばした。東北高の2学年先輩、宮里にも2週間前に「もう優勝できないんじゃないか」と悩みを相談して励まされた。偉大な先輩に助けられてきたホープの恩返しの初優勝だった。
 「身近に凄い先輩がいすぎて1人を目標にできない。いろんな選手のいろんなところを目標にやっていきたい」。良き先輩に囲まれ、強き先輩に挑み、自分の力でつかみ取った初優勝。宮里や上田より年下の20歳。新世代の主役候補が、ようやく花開いた。

 ◆有村 智恵(ありむら・ちえ)1987年(昭62)11月22日、熊本市生まれ。小3から父の影響でゴルフを始め、九州学院中で日本ジュニア、全国中学選手権優勝。東北高に進学し、団体戦全国3連覇に貢献。06年のプロテストはトップ合格。同年QTで3位となり、初めてフル参戦した昨年は賞金ランク13位。これまでの最高成績は昨年のスタンレー・レディースの2位。得意はPW。1メートル59、57キロ。

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2008年6月30日のニュース