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W杯決勝アルゼンチンVSフランス エース対決などカギ握る4つの「VS」

[ 2022年12月18日 07:00 ]

FIFAワールドカップカタール大会決勝   アルゼンチンーフランス ( 2022年12月18日    ルサイル競技場 )

アルゼンチンのメッシ(左)とフランスのエムバペ
Photo By スポニチ

 36年ぶり3度目の優勝を狙うアルゼンチンと60年ぶりに史上3チーム目の連覇に挑戦するフランスが激突する決勝は18日(日本時間19日午前0時)、ルサイル競技場で行われる。いずれもパリSGに所属し、今大会最多の5得点で並ぶアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(35)とフランス代表FWキリアン・エムバペ(23)のエース対決など、注目ポイントを紹介する。

《エース対決 メッシVSエムバペ》 15試合を消化した今季のフランス1部で12点のエムバペが得点王で、10アシストのメッシがアシスト王。メッシからエムバペへのアシストは選手別最多の6で、リーグ戦無敗のパリSG最強のホットラインとなっている。そんな2人がW杯決勝という最高峰の舞台で優勝と得点王を懸けて激突する。

 メッシが史上最多7回、C・ロナウド(ポルトガル)が5回と近年は2人でほぼ分け合ってきたバロンドール(世界最優秀選手)に関し、エムバペが「近く獲ることになると思う」と宣言したのは今年9月。「いつも言うが、俺は全てを夢見る。限界はないんだ。あなた方が言うように新世代だ。ロナウドとメッシを止める。誰か新しい選手を見つけないと駄目なんだ」。自らの言葉を実現するかのようにフランスを連覇へ引っ張ってきた。

 メッシも譲れない。「最後のW杯で決勝を戦えるなんて素晴らしい」。力は衰えても、勝負どころで見せる超絶技巧は健在だ。ここ2試合無得点のエムバペに対し、決勝トーナメントは3戦連続弾。W杯単独最多26試合目の出場となる決勝でさらに数字を伸ばし、そのまま優勝も勝ち取る。

 “王位”継承を狙うエムバペと、86年メキシコ大会優勝を支えたマラドーナに肩を並べる最後のチャンスを迎えたメッシ。エース番号10を背負う両雄が、意地と誇りを懸けて頂点に挑む。

 【データ】決勝進出チームの4選手が得点ランク上位を占める。優勝国から得点王が出ると10年大会のスペインのビジャ(4人が同点)以来で、MVPも受賞して“3冠”となれば同賞が制定された82年大会イタリアのロッシ以来、40年ぶり2人目。またメッシは決勝トーナメントが16チーム制となった86年大会以降、1回戦から全4試合で得点し優勝という初の快挙も懸かる。

 《好機演出対決 ディマリアVSグリーズマン》 コンディションを整え、その時を待っていた。決勝トーナメントは準々決勝オランダ戦で延長後半7分からの出場のみにとどまっていたアルゼンチンのFWアンヘル・ディマリア(34)が決勝で先発復帰する見通しになった。右サイドから正確なキックや変幻自在のドリブルで攻撃を支えるアタッカーは、今大会限りでの代表引退を明言。メッシ同様に決勝が最後のW杯となる。「4回も出られるなんて誇りに思う」。代表戦出場128試合はアルゼンチン歴代4位。大一番で経験とゴールにつながるパスを供給する。

 フランスでチャンスメークの役割を担うのはFWアントワヌ・グリーズマン(31)だ。今大会は中盤で守備的な役割も求められて無得点ながら、急所を突く決定的なパス能力は健在。3アシストはメッシらと最多で並び、主要大会の代表通算も28としてアンリのフランス最多記録27を更新した。「得点はないけど、1試合にシュートを50本打つわけではないし、気にしてないよ」。何よりも勝利を優先させる意識こそが最大の武器となる。


 《守護神対決 E・マルティネスVSロリス》 フランスは同国代表最多出場記録を144試合に更新したGKユーゴ・ロリス(35)がゴールを守る。「誇りに思うけど、数字は二の次」と控えめだが、安定感が求められる守護神にとっては、出場試合数こそ信頼の証だ。決勝に出場すればW杯通算20戦目でノイアー(ドイツ)のGK歴代最多記録も更新。主将で連覇を達成すればW杯史上初の快挙となる。

 そこに立ちはだかるのが、アルゼンチンのGKエミリアノ・マルティネス(30)だ。11年に代表初招集も、アーセナル時代に6度の期限付き移籍を繰り返した苦労人の代表デビューは21年6月。出場25試合とロリスに遠く及ばないが、シュートストップに強く、アルゼンチンの守備力改善をピッチ最後方から支えてきた。決勝でのプレーを「喜びであり、プライドの源」と語る一方で「負ければ何の意味もない」ときっぱり。オランダとの準々決勝で2本セーブするなどPK戦で強さを発揮しており、決勝でも120分を超える戦いとなれば、真価を発揮するだろう。

 《指揮官対決 スカロニ監督VSデシャン監督》 指揮官の経歴は対照的だ。フランスのディディエ・デシャン監督(54)は代表戦103試合に出場した現役時代、地元開催の98年大会で主将として母国をW杯初優勝に導き、前回ロシア大会は史上3人目となる選手&監督でのW杯制覇を達成。今大会は監督として史上2人目の連覇に挑む。

 一方、今大会最年少44歳でアルゼンチンを率いるリオネル・スカロニ監督は代表出場歴が7戦のみで、監督未経験でロシア大会後にコーチから昇格。親善試合2戦だけの暫定監督のはずが、大物招へいに失敗した末の妥協案で正監督になり、マラドーナ氏に「交通整理もできないのに、どう代表を指揮する?」と辛口批判を受けた。

 しかし、メッシとともに06年ドイツ大会に出場するなど、選手と近い距離感を生かしてチームを再建。運動量が多い選手の起用で負担が減ったエースの攻撃力を引き出し、柔軟に布陣を変えるなど策士の一面も見せ、21年南米選手権を制覇。26年W杯までの契約延長も勝ち取った。

 「国を代表することは感情を揺さぶる」と優勝に意欲を燃やすスカロニ監督。今大会後のジダン後任監督就任内定が報じられているデシャン監督は、故障禍を巧みな人材登用で切り抜け「決勝で王座防衛のチャンスがあることを誇りに思う」と話している。

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