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スペインの18歳MFガビは「まるで火山」 無敵艦隊の中央で“噴火級”タックル

[ 2022年11月12日 04:51 ]

スペイン代表の王座奪回へ鍵を握るガビ(左)
Photo By AP

 【森保ジャパン ライバルチェック】日本がW杯1次リーグ最終戦(12月1日)で対戦するスペインで、鍵を握るのが18歳のMFガビ(バルセロナ)だ。この1年で同代表最年少の出場と得点記録を更新。11日発表のW杯メンバー26人に選ばれた成長株が、森保ジャパンの前に立ちはだかる。

 ルイスエンリケ監督が、かつてガビに関して語ったことがある。

 「ピッチの上でまるで火山が噴火しているみたいだ。彼のプレーを楽しまないファンは一人もいない。恋に落ちないのは難しいね」

 豊富な運動量が卓越した技術を支え、1メートル73と小柄ながら屈強な肉体を誇る。王座奪回を目指すスペインは持ち味のパスワークに加え、ボールを失った際は激しいプレスで即時奪回から素早く攻撃に転じる。そこで真価を発揮するのが最年少ながら闘争心をむき出しにして戦う18歳で、速攻につなげる鋭いパス能力を含め、代表出場12戦ながら欠かせない存在になりつつある。

 昨年10月6日の欧州ネーションズリーグ準決勝イタリア戦に17歳62日で先発し、代表最年少出場記録を85年ぶりに更新した。6月5日のチェコ戦では17歳304日で最年少得点。9月に所属のバルセロナと契約を更新して契約解除金が10億ユーロ(約1450億円)に設定され、10月にはバロンドール(世界最優秀選手)歴代受賞者の投票で21歳以下の最優秀選手に選ばれた。

 取材に応じる機会は少なく、表彰式で「仲間やチャンスを与えてくれた監督に感謝している。常にベストを尽くすよう努めている」と語ったガビ。1年前の受賞者でバルセロナと代表の同僚でもある19歳のMFペドリとのコンビは、同じバルサと代表で一時代を築いたシャビ(現バルセロナ監督)とイニエスタ(現神戸)をほうふつさせる。新星は日本の教育システムに当てはめれば、まだ高校3年生。クラブで指導するシャビ監督が「限界がない」と称える早熟の才能が、カタールのピッチで輝きを放つ。

 ◇ガビ(本名パブロ・マルティン・パエス・ガビラ)2004年8月5日生まれ、セビリア出身の18歳。地元のベティス下部組織から11歳でバルセロナ下部組織入り。昨季開幕前の遠征に人数合わせで招集され、クーマン監督(当時)の目に留まってトップチーム定着。クラブの公式戦出場7試合で代表デビューした。国際Aマッチ12試合1得点。1メートル73、70キロ。

 ≪戦力分析≫3大会ぶり2度目の頂点を狙える陣容が整った。14年は1次リーグ敗退、18年は16強止まりだったが、昨年の欧州選手権4強メンバーを軸に各ポジションに実力者が並ぶ。球を保持しながら攻めの糸口を探る伝統のスタイルは健在。技術と機動力を兼ね備える19歳のペドリと18歳のガビ、10年南アフリカ大会の優勝を知る34歳のブスケツが組むバルセロナ勢の中盤は安定感がある。

 センターFWモラタへの縦パスを合図に周囲の選手が前へと飛び出す。両ウイングで軸となる技巧派のサラビアとF・トレスが所属クラブで出番が少ないのは不安材料。前線からのプレスの意識が浸透し、守備は大崩れしない。速攻への対処や体格面で難があるセットプレーの守備の改善が躍進の鍵を握る。

 ≪20歳ウィリアムスに吉報≫11日に発表されたW杯メンバーに20歳のFWニコ・ウィリアムスが滑り込んだ。代表出場歴は2戦ながら、9月27日のポルトガル戦で終了間際に貴重な決勝点をアシストしてアピール。「W杯は監督が決めること」と話していた中で吉報が届いた。ビルバオの同僚でもある兄イニャキは16年にスペイン代表で親善試合に出場したが、その後は招集がない状態で今回のW杯に向けて両親の祖国ガーナに代表を変更。兄弟で異なる国からW杯を目指してきた。

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