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鹿島と真っ向勝負した鳥栖・川井監督の矜持 「やりあうところがテーマだった」

[ 2022年5月26日 14:00 ]

鳥栖・川井健太監督
Photo By スポニチ

 ものすごい試合を見た。明治安田生命J1リーグ第15節。鹿島対鳥栖を観戦した誰もがそう思うに違いない。0―3の劣勢から一時はひっくり返した鹿島の底力、そして何よりも鹿島と同じ土俵で戦い抜いた鳥栖の健闘に驚嘆した。

 「ジェットコースターのような試合だった。観客は楽しかったんじゃないでしょうか。後半の試合の進め方は課題ではあるんですが、こういう試合はシーズンで味わっておかないといけない。ネガティブには捉えていない」。1試合で合計8ゴールも生まれた激闘を終え、鳥栖の川井健太監督(40)はこう振り返った。

 強度の高いプレーが持ち味のチーム同士。見応えのある試合になるとは予想していたが、良い意味で予想を裏切ってくれた。
 1試合平均リーグトップの約123・8キロの走行距離を誇る鳥栖が序盤から出足鋭く優勢に試合を進めた。前半終了時点で2点を先行。後半も早々に1点を奪い、3―0で試合を決めたと思われたが、鹿島の猛反撃で一時4―3と逆転された。終了間際にコーナーキックから同点に追いつき痛み分けとなったものの、収穫があったのは鹿島よりも、強豪相手に勝ち点1をもぎ取った鳥栖だと感じた。

 鳥栖は3―0となった時点で、試合を締める方向に舵を切ることもできたはずだった。ただ、川井監督はそうはしなかった。

 「きょうに関しては、やりあうところがテーマだった。シーズン中盤にかかるところで、少し相手の土俵でやりたいなと思った。うまくかわして勝ったとしても上を目指す上ではちょっと残るものがない。本気で上を目指すなら、彼らの土俵を味わいながら、僕らの土俵に持っていく。(戦術を)変えるというのは基本的になかった」

 結果的に引き分けたが、一歩間違えれば勝ち点を取りこぼしていた。ただ、指揮官は昨季7位の鳥栖があと一歩抜け出すためには、厳しい戦いを経験することが重要だと説く。川井監督は続ける。「目の前の試合が大切です。勝ち点3はとりたい。ただ、もっと先を考えている。このやり方で勝ち点3がとれると思っている。カシマスタジアム、鹿島という相手に対してぶれてしまったら面白くない。僕らは前に突き進むしかない。うまく避けて勝ったからといっても何も残らないと思う」

 終盤は過密日程により鳥栖の運動量が落ち、逆に鹿島が布陣を崩してまで個の力でがむしゃらに勝ち点を奪いに来たことで試合は乱打戦となったが、勝利というニンジンが目の前にぶらさがっているにも関わらず鳥栖は胆力のある決断をしたと会見を聞きながら感心していた。

 今後を見据えた上で、強豪チームの土俵でがっぷり四つ相撲ができたという点では鳥栖に軍配が上がった一戦だった。両チームにとって取り直しの一番は9月に駅スタで行われる。この日、鹿島の土俵で戦い抜いた鳥栖の成長度合いを測るにはもってこいの試合となりそうだ。(記者コラム・河西 崇) 

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