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内田篤人 オンラインで引退会見、今後は「どこにでも行けるような仕事を」一番やりたいのは幼稚園のお迎え

[ 2020年8月24日 16:02 ]

オンライン引退会見に臨む内田篤人(C)KASHIMA ANTLERS
Photo By 提供写真

 鹿島の元日本代表DF内田篤人(32)が、現役引退会見を24日にオンラインで開いた。「Thank You Atsuto!」と書かれた会見ボードを背景にスーツ姿で登壇。後輩のFW土居も駆けつける中、晴れやかな表情で約1時間の会見に臨んだ。

 会見冒頭、マイクを握ると「昨日スタジアムで最後に話したことがほとんどなので、僕から何とか、ということはほとんどありません」とキッパリ。柔らかい笑いを誘うと、その後は記者からの質問がなくまるまで一つ一つ、丁寧に引退を決意した経緯などについて答えていった。

 引退の決意を初めてクラブに伝えたのは、12日のルヴァン杯・清水戦後だったという。「(強化担当の鈴木)満さんにルヴァン杯の試合の後、そのまま話をしに行きました。“チームの助けになっていない”というのと、“このまま契約を解除して引退させてほしい”ということを、試合後そのまま言いにいきました」と明かした。その後、愛妻にも決意を伝えたという。

 常勝のイズムが脈々と受け継がれる鹿島。加入した時から、内田は厳しい練習の中でその姿勢を体現する大勢の先輩たちを見てきた。だからこそ中途半端な思いやプレーを抱えたまま現役を続けることはできなかったという。

 「先輩たちがグラウンドでやるべきことをやっていることを見てきました。(小笠原)満男さんだったり、柳(沢)さんだったり、(大岩)剛さんも、僕が入った年は本田さんもいましたけれど。鹿島の選手らしい振る舞いというか立ち姿は自分の中で感じるものがあって、それが僕にはできていないなと」

 練習中も試合中も、古傷の右膝をかばい、ケガをしないように抑えながらプレーしなければならなかった。だが、傍らではチームメートの永木、小泉、土居らが全力でプレーしていた。「その隣に立つのが失礼だなと思うようになりました。鹿島の選手としてけじめをつけないといけないなと。たとえばカテゴリーを下げてとか、環境を変えるために移籍をしてということも選択肢にはあったと思いますけど、鹿島以外でやる選択肢はなかったので、ここで辞めさせていただきたいと思いました」と明かした。

 引退の決意を前もって伝えた人はわずかだったが、その1人はGK曽ケ端だったという。チームの最年長で、鹿島の黄金世代を象徴する先輩。「“お前まだやれるだろう”って一番しつこく言ってきたのがソガさんですね。あの人の方が長くやっているんで反論はできなかったんですけど、“早いなあ”とか“もったいないなあ”とか、一番寂しそうだったのもソガさんだった」という。

 41歳の曽ケ端には「まだ10年くらい(現役)やるんじゃないですか?契約残っていますよね?10年くらいね?」と長い現役生活を望み、「黄金世代がどんどん辞めていく中で、最後、鹿島の象徴的な選手として曽ケ端さんは残ってくれています。後ろにいてくれると安心感だったり存在感は感じるものがある。これから僕は1人のファンとしてユニホームを買って応援したいと思います」とエールを送った。

 引退後は「いろんな選択肢があると思いますけど、まだ一つ、2つに絞るのは早いかなと。いろんな選択ができるように、どこにでも行けるような仕事を選んでいきたい。サッカー以外のことでやれていく自信はないので、何かできればいい」と、今後もサッカーに携わりながら複数の選択肢を模索していくという。

 現役生活に終止符を打ち、今一番やりたいことは「子供の幼稚園のお迎え」。柔らかい笑みを浮かべながら「これからは手をつないで一緒に幼稚園の送り迎えができたら最高だなと思います」と2児の娘を持つ32歳は優しいパパの顔になった。「YouTuberにはならないですね。長友さんとかやっていますけど、僕はならないですね」とも笑わせた。

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2020年8月24日のニュース