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「勝利への激しさと厳しさ」持った神戸に注目

[ 2020年3月4日 07:09 ]

<横浜・神戸>優勝を飾りカップを掲げるイニエスタら神戸イレブン(撮影・西尾 大助)
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 昨季まで神戸に所属していた元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(34)は、ある光景を目の当たりにして言ったという。「俺もああいう風に仲間と言い合いたいんだ」――。昨年5月12日のホーム鹿島戦。あるプレーを巡って試合中に鹿島のMF永木とMFレオ・シルバが激しく言い争う姿を見て、長く欧州で活躍してきた背番号10はうらやましそうに語ったそうだ。

 少し前の話になるが、神戸のチームとしての変化を感じたのが今季公式戦初戦となった2月8日の富士ゼロックス・スーパー杯の横浜戦だった。両チームともに外しまくったPK戦が注目された一方、個人的に目がいったのが後半28分に3失点目を喫して同点に追いつかれた直後だった。元日本代表DF西とDFダンクレーの2人が、お互いにマークに付ききれなかったことから胸を突き合うほどの口論になった。

 まるでケンカのようなやりとりについて、鹿島で経験を重ねてきた西はサラリと振り返る。「俺に“戻れ“って言ってたけど“無理だろ”と。(後から2人で)話しましたよ」。激しく言い合うことが正しいのかは分からないが、神戸というチームに対して、昨年まではどこか淡泊な印象が拭えなかった。良いときは良いが、悪くなると流れを断ち切れずに沈んでいく。元スペイン代表MFイニエスタらを擁しながらも、成績不振によりシーズン中に2度も監督が交代した19年シーズンだった。

 それが、元日に天皇杯を制した今季の神戸は初陣から違っていた。かつてポドルスキが求めた勝利に対する激しさと厳しさを表現したチームは、ゼロックス杯を制し、ACL初戦となった水原戦でも粘り強く戦い、アウェーで勝ち点3をもぎ取った。経験豊富なベルギー代表DFフェルマーレンや元日本代表MF酒井らが昨夏に加わったことも好影響を及ぼしており、上位を争うクラブが持ち合わせるしぶとさを兼ね備えつつある。

 リーグ開幕戦となった横浜FC戦は、試合終盤に何とか追いつきドロー発進となった。昇格組に勝ちきれなかったことは反省でしかないものの、負けなかったことは救いでもあり成長でもあった。過密日程を強いられている中、今後の歩みを注目していた矢先に、新型コロナウイルスの影響で公式戦延期が発表された。

 タレントをそろえ、かつ今までにない熱量を持った集団の懸念は、やはり選手層の薄さだろう。その不安要素を補いつつ、どのようにJ1やACLで頂点を目指していくのか。リーグ再開後も動向を注目していきたい。(西海 康平)

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