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スイス1部で歴史的栄冠 昇格初年トゥーンが創設128年目で初制覇 世界が注目“おとぎ話”の原動力は

[ 2026年5月4日 15:00 ]

初優勝を喜ぶトゥーンの選手とサポーター(AP)
Photo By AP

 サッカーのスイス1部リーグで、歴史的な優勝が決まった。昇格初年のトゥーンが、3試合を残して勝ち点74で初制覇。2日のバーゼル戦に敗れたが、3日に2位のザンクトガレンも敗れたことで勝ち点差は11となり、栄冠が決まった。創設128年目でつかんだ初タイトルは、欧州各地で「おとぎ話のよう」など報じられた。

 中世の雰囲気を濃く残す湖畔の街から、新たなシンデレラストーリーが生まれた。今季6季ぶりに1部に復帰したトゥーンが、昨季王者バーゼル、ヤングボーイズなどの強豪を抑えて昇格チーム過去最高勝ち点かつリーグ最多76得点で制覇。本拠地ストックホルン・アリーナの選手ラウンジで優勝決定の瞬間を見守ったイレブンは、人工芝のピッチを埋め尽くしたサポーターと歓喜を大爆発させた。

 地元メディアによると、エースのFWラストダーはレプリカの優勝トロフィーを上下真っ二つに壊すほどの勢いで歓喜のダンス。元選手のゲルバー会長は「信じられるかい。優勝したのはヤングボーイズでもバーゼルでもチューリヒでもなない。我らがトゥーンなんだ!」と噛みしめた。ルストリネッリ監督は「我々はヨーロッパ規模で歴史を作ったんだ」と涙を流した。各地で「おとぎ話のよう」「レスターのプレミアリーグ優勝に匹敵する」「衝撃的な優勝」と歴史的な栄冠を伝える見出しが並んだ。

 複数の欧州メディアによると、シーズンスタート時の市場価値はリーグで下から2番目。昇格に向けて費やした移籍金はバーゼルの1800万ユーロ(約33億7000円)に対し、200万ユーロ(約3億7000万円)と1/9ほどしかない。24年に資金不足に陥った時期もあった。

 それでも現役時代の04~05年にクラブを最高成績の2位に導いた元同国代表FWのルストリネッリ監督は「予算、市場価値、移籍金、それは数学だ。サッカーは数学ではない」と言い切る。強豪に比べてオフの入れ替わりが少なく、時間をかけて同じ仲間で戦い方を構築できたことが強固な基盤に。昨年12月以降は1シーズンのリーグ記録に迫る破竹の10連勝を記録した。

 今季チーム最多13得点のエース、北マケドニア代表のラストダーは24年夏の加入まで1部での得点がゼロだった。最多タイとなる7アシストのDFフェールは昨季まで1部での出場が1試合だった。高い位置でボールを奪い、素早いトランジションで攻撃を仕掛けるスタイルの中で、眠れる才能たちが一気に開花した。

 トゥーンの街の人口は、J1優勝チームで最少人口の本拠地として有名な鹿島の鹿嶋市の約6万4000人より少ない約4万5000人。収容人数約1万人の本拠地に、人口の1/4ほどの地元サポーターが詰めかけて栄冠を後押しした。同地には昨夏、スイス協会が新本部を建設すると発表。サッカー界では無名に近かった街が一躍、スイスの中心地に踊り出た。
 
 ▽トゥーン 1898年に創設。過去最高成績はルストリネッリ監督が20得点した04~05年シーズンの1部2位で、翌シーズンの欧州CLでは下馬評を覆す予選突破から1次リーグ3位。現会長の元同国代表MFゲルバー氏も主力として活躍した。他に2度の2部優勝や2度のスイス杯準優勝。現本拠地ストックホルン・アリーナは11年に開場した。
 ▽欧州の主なリーグ戦の番狂わせ 1997~98年のドイツ1部では、カイザースラウテルンが史上初めて昇格初年で制覇した。15~16年のイングランド・プレミアリーグでは、元日本代表FW岡崎慎司擁する総額年俸リーグ17位のレスターが創部133年目にして初優勝。昨季はスウェーデン1部で人口1500人に満たない南部の漁村ヘレビクを拠点とするミャルビーが初めて頂点に立った。

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