J3福島・田坂監督が見せた“昭和の男”の背中

[ 2018年8月18日 10:30 ]

桃を収穫するJ3福島・田坂監督
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 先日、J3福島の選手たちが育成した「福島ユナイテッドFCの桃」の収穫作業を取材する機会があった。同クラブは福島原発事故後、福島県産品の風評払拭活動を一つのミッションとして掲げており、試合会場での県産野菜販売やPR活動を行ってきた。その一環として2015年から地元農家の協力を得て「福島ユナイテッドFCの桃」を育成。今年は3月に摘蕾(てきらい)、4月に摘花(てきか)、7月に摘果(てきか)と反射シート敷きの作業を選手、スタッフが行い、8月上旬に、ようやく収穫を迎えた。

 収穫作業には田坂和昭監督(46)と5人の選手、さらにスタッフも参加。購入予約したサポーターに発送するため、収穫後には選別や箱詰め作業も行った。当日の福島市は最高気温38・1度の猛暑。汗だくになりながら長時間の作業となったが、誰よりも黙々と作業していたのが田坂監督だった。

 「こうやって手をかけて作物を育てる経験がサッカーにも生きてくる。いい経験をさせてもらっている」田坂監督はそう話していたが、20代前半の若い選手たちに指揮官の思いは届いただろうか?地元の風評被害払拭という使命は理解しつつも、プロのアスリートでである以上、選手たちの胸の内に「プレーでアピールすべき」という思いはあって当然。だからこそ、作業中に愚痴も漏れたし、中だるみもあった。そんな選手たちをよそに、ただ黙々と作業を続ける田坂監督の背中に“昭和の男”を感じた。

 田坂監督より少し前の時代に育った自分たちの年代では、スポーツ界のスパルタ指導は普通のことで、結果を残せば、称賛こそされたが、非難されることなどなかった。だが、時代が変わり、鉄拳制裁など言語道断。キツい叱責でも「言葉の暴力」と受け止められれば、パワハラになる。今の指導者に求められるのはトレーニング法や戦術などに関する高度な知識なのだろう。それでも、背中で語る昭和の心意気だけは、平成から時代が変わっても残ってほしいと思った。(大内 辰祐)

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