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ノリさん有終連勝!なでしこ率いた8年に感謝「人生の宝」

[ 2016年3月10日 05:30 ]

北朝鮮に勝利し、サポーターに手を振る佐々木監督

リオデジャネイロ五輪アジア最終予選 日本1-0北朝鮮

(3月9日 金鳥スタ)
 なでしこジャパンは9日、大阪市のキンチョウスタジアムで北朝鮮を1―0で破った。既にリオデジャネイロ五輪出場の可能性が絶たれていた中、後半35分にFW岩渕真奈(22=バイエルンM)が決勝点を挙げ、競り勝った。08年から指揮を執ってきた佐々木則夫監督(57)は最後の試合を白星で飾り、試合後に退任を正式に表明。連勝締めのなでしこは6チームの中で3位に終わった。

 勝利インタビューで佐々木監督の目が潤んでいた。消化試合でも、ともに歩んできた選手たちが懸命に走り、後半35分に岩渕の決勝点が生まれた。「リオの切符は獲れなかったが、本当に頑張ってくれた」。指導してきた約8年間の思いがあふれ出た。「切符を獲れなかったのは僕のせい。しっかり責任を取る。新たななでしこを後押ししてください」。今予選限りでの退任を自ら告げた。

 大橋前監督からバトンを受け、07年12月7日にコーチから監督に昇格。08年2月に初陣として臨んだのも、この日と同じ北朝鮮戦だった。「きょうみたいに、どっちもアグレッシブで、幻の澤さんのループシュートがあって…。(東アジア選手権で)初めて優勝できた」。監督としての自信をつかんだ一戦だった。そしてこの日は手塩にかけて育てた“娘”たちが、未来を明るく照らしてくれた。前半を0―0で折り返すと、後半からは切り札として期待し続けた岩渕を投入。15分には自ら発掘した長身GK山根がシュートを顔面ブロック。魂のこもったプレーで流れは渡さない。岩渕の決勝弾へとつなげた。

 代表監督就任から約8年3カ月、ピッチを離れてもなでしこのことが頭にあった。昨年8月には左膝前十字じん帯損傷で手術を受けたDF小原を見舞うために青森県内の病院へ。同9月には右膝じん帯損傷で手術したFW岩渕が入院する京都府内の病院を訪れた。クマのぬいぐるみを持参するのが流儀。女心をくすぐる「ノリさん」が、なでしこを離れる時が来た。

 最後を勝利で飾り「なでしこらしさを出してくれた。僕のサッカー人生においても大きな宝になる」と選手に感謝。将来的に古巣のJ1大宮に要職で復帰する可能性もあるが、この日は自らの去就に「数日後には(職業)募集中になると思うんで、幅広く次のステージに向かいたい」と語った。なでしこを世界一に育て上げた指揮官が去る。

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