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東北勢初Vだ “劇的男”山岸 奇跡再現へ止める!決める!

[ 2014年12月13日 05:30 ]

直前練習でキャッチングの練習をする山形GK山形

 天皇杯決勝は13日に日産スタジアムで行われ、来季J1に昇格が決まったJ2山形は3冠を狙うG大阪から金星を狙う。J1昇格プレーオフ2試合で下克上の立役者となった元日本代表GK山岸範宏(36)は、12日はPK練習でキッカーも務めるなどフル回転する構え。クラブ初のタイトル、そして、東北勢初の天皇杯制覇へ“奇跡の男”がG大阪の前に立ちはだかる。

 奇跡の男に抜かりはなかった。小雪が舞う中で行われた12日の最終調整。山形イレブンは延長後の死闘をも想定してPK練習を開始した。守護神としての感覚を研ぎ澄ませた山岸は、キッカーも務める周到ぶり。「いつもと変わらない、良い状態。昇格を決めたのは過去のこと。天皇杯を全力で獲りにいく」。寡黙な男は目の前の一戦に集中力を高めていた。

 相手はナビスコ杯、リーグ戦を制し、3冠を狙うG大阪。J2で6位の山形と地力では大きな差があるが、一発勝負は波乱が起こり得る。全体練習では、PKだけではなく左右からセットプレーの崩しを入念に確認。石崎監督は「セットプレーもPKの練習もした。流れでもセットプレーでも点を取るのは大事なこと。自分たちが持っていることを出していけるか、勇気を持ってやりたい」と話す。球際の強い守備で相手を抑え、一瞬の隙を突く攻撃。初志貫徹で最後の練習を終えた。

 “3度目の奇跡”の中心となるのが山岸だ。J1昇格プレーオフ準決勝では後半ロスタイムに決勝のヘディング弾を磐田ゴールにねじ込んだ。同決勝では持ち前のシュートストップで千葉から1点リードを守った。昇格決定後には11月のJ2MVPに選ばれた賞金を使って決起集会も開いたベテランには、チームの求心力だけでなく指揮官も最敬礼だ。報道陣から今年を漢字1文字で表してほしいと言われると、「今年の漢字は“山”だね。山岸の“山”、(千葉戦で得点した)山崎の“山”、そして山形の“山”」と独特の表現で信頼を寄せた。

 東北のクラブが決勝に進出するのは33年の仙台クラブ以来、実に81年ぶり。優勝すれば、東北勢に初のタイトルをもたらすことになる。会場には山形から1万人を超えるサポーターが大挙するという。「自分たちらしくやっていく。全力でぶつかっていきたい」。今年6月に浦和から加わった守護神が、新たな勲章を手にする時が来た。

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