×

ザック監督の意図は…W杯の練習試合 相手はこうやって決める

[ 2014年5月30日 15:12 ]

出発前セレモニーで花束を受け取るザッケローニ監督

 まもなくワールドカップ(W杯)ブラジル大会が開幕する。日本代表は5月27日に埼玉スタジアムでキプロスと対戦して1―0で白星を挙げた。この時期にどういう相手と対戦するかでチームの仕上がりが違ってくる。(小倉 勉)

 ザッケローニ監督は6月2日(現地時間)にコスタリカ、7日にザンビアと練習試合を組んだ。「弱い国とばかり…」という声も出ているが、練習試合の対戦相手を選ぶのは監督の考え方だ。

 06年ドイツ大会の前、ジーコ監督はスコットランド(0―0)マルタ(1―0)など、あまり強くない国と対戦した。1試合だけドイツと対戦し最高の試合(2―2)をしたが、そこがピークで、本大会では1分け2敗、1次リーグで敗退した。

 私が参加した10年南アフリカ大会は、直前合宿を行ったスイスでイングランド(1―2)やコートジボワール(0―2)など強国と対戦。「日本の立ち位置を知ろう」と考えたからだ。格下のチームとの対戦は調子を高めるためには効果的。しかし、本大会では格上のチームと対戦するので、心構えができる。そして、似たタイプのチームと対戦することが効果的だ。

 南アフリカ大会前は仮想カメルーンとしてコートジボワール、仮想オランダやデンマークとしてイングランドと対戦した。体格や特徴などを体感するためで、本大会での「間合い」が違ってくる。選手も「プラスになった」と話していたが、カメルーンに勝てた要因の一つがそこにあるだろう。

 テストマッチがうまく組めたのは岡田監督のお陰だ。98年フランス大会の時は初めて抽選会に参加し、何も分からなかったが、何度も出場している国は、そこで組み合わせが決まったと同時に練習試合の相手探しをしていた。岡田監督がその時の経験を元に、抽選会で狙い通りの相手と練習試合が組めたことが大きかった。W杯に監督として出場経験があった岡田さんの存在が、勝利に結びついたといってもいい。

 ザックジャパンの今大会初戦の相手はコートジボワール。4年前の話になるが、対戦したコートジボワールは「強い」と感じた。前回はドログバらがケガで決勝トーナメントに進めなかったが、今回対戦は違う。要注意だ。

 ◆小倉勉(おぐら・つとむ)1966年(昭41)7月18日生まれ、大阪府出身の47歳。天理大卒業後に渡独し、ブレーメンのユースなどを指導。帰国後、92年から市原(現J2千葉)で育成部やトップチームのコーチ、強化スタッフなどを歴任した。06年からイビチャ・オシム監督、08年からは岡田武史監督の下で日本代表コーチを務め、10年W杯南アフリカ大会で16強入り。12年ロンドン五輪では関塚隆監督の下でコーチを務めて4強入りを支えた。五輪後の12年9月からJ1大宮でコーチ、テクニカルダイレクターを務め、13年8月から監督。14年からJ1甲府でヘッドコーチを務めている。

続きを表示

2014年5月30日のニュース