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ストイコビッチ監督 深みのある人格の底に翻弄されたサッカー人生

[ 2010年11月20日 18:00 ]

初優勝を決め、ガッツポーズでスタッフと抱き合う名古屋・ストイコビッチ監督

 胴上げで3度宙に舞った。「特別な瞬間で大きな成功だ。選手の時とは全く違う」。就任3年目。愛するクラブをリーグ初制覇に導いた。

 選手時代は「ピクシー」の愛称で知られたスーパースター。1990年ワールドカップ(W杯)イタリア大会では、ユーゴスラビア代表として名将イビチャ・オシム監督(元日本代表監督)の下、8強入り。欧州の強豪クラブを経て94年から名古屋で8季プレーした。
 華麗な技術でファンを魅了し、2度の天皇杯全日本選手権制覇に貢献。Jリーグで最多13度の退場処分を受けるなど、激情家の一面も。08年に監督経験のないまま古巣を率いることになった。
 自らを「ミスター」と呼ばせ、選手と一線を画す威厳があるが、クラブ幹部は「選手の気持ちをよく分かっている」と言う。練習は1時間半ほど、ミーティングも短い。田中マルクス闘莉王選手は「前向きになれるような話をしてくれる。人間としていろんな経験をしているし、サッカーを知っている」と心酔する。
 深みのある人格の底に、サッカー人生を国際政治に翻弄された経験がある。母国の旧ユーゴスラビアが民族紛争による内戦で揺れ、94年W杯米国大会は国連制裁で予選に出場できず、99年には母国が北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆を受けた。避難した両親を案じ「プレーに集中するのが難しい」と涙した。
 多忙な中、家族との時間を大切にする。今夏はスネジャナ夫人と3人の子供と京都を訪れた。セルビア出身。45歳。

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2010年11月20日のニュース