母への思い 相棒ブラストに託す

[ 2019年9月20日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】先週末、アイルランドで行われた愛チャンピオンS(G1)にディアドラ(牝5=橋田)が挑戦(4着)し、フランスのフォワ賞(G2)にはキセキ(牡5=角居)が出走(3着)。現地に赴いた私はその後、英国まで足を延ばし、凱旋門賞のためにニューマーケットで調整を重ねるフィエールマン(牡4=手塚)とブラストワンピース(牡4=大竹)の元を訪ねた。

 2頭は共に輸送もうまくいき元気そう。隣り合った馬房に入り、調教も一緒にこなしていた。ノーザンファームから駆けつけた獣医師のほか、同牧場のスタッフがそれぞれ1人ずつと、手塚厩舎、大竹厩舎からの担当者、計5人が遠征に帯同。ブラストワンピースを担当するのが大竹厩舎の八木大介持ち乗り調教助手だ。

 現在35歳の八木助手は元々、競馬ゲームでこの世界を知って飛び込んだ。その際、母親からは心配されたと言う。12年に大竹厩舎に入った彼に訃報が届いたのは翌13年の10月。母がくも膜下出血で倒れると帰らぬ人となったのだ。

 その18日後に新馬戦を勝ったのが母と同じ誕生日のショウナンワダチだった。同馬はデビューから連勝したが、その後、17年に引退するまでは連敗続きに終わった。そして同馬が引退すると、そのわずか2週間後には次の担当馬が新馬勝ち。それがブラストワンピースだった。

 ブラストワンピースはご存じのように昨年の有馬記念を制し、今年は勇躍、凱旋門賞を目指すことになった。八木助手は日曜には帰国して、愛馬の健闘は日本から応援するという。凱旋門賞の行われる10月は先述した通り、母の亡くなった月でもある。海の向こうでの愛馬の大仕事を墓前に届けることが現在の八木助手の願いである。(フリーライター)

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