マスターの吉澤オーナー 奇跡の出走から下克上だ

[ 2019年6月7日 05:30 ]

マスターフェンサーと吉澤克己氏=右(撮影・平松さとし)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】マスターフェンサーが今週末、米国で行われるベルモントSに出走する。

 ケンタッキーダービーの出走権を懸けた日本国内でのポイント争いでは4位に敗れた。しかし、上位の3頭が出走を表明しなかったことで、奇跡的に出走がかなった。

 「話をいただいた時“行く!!”と即答しました。日本をたつ前からベルモントSも視野に入れていました」

 そう語るのはオーナーの吉澤克己氏だ。1962年11月、札幌で生まれた吉澤氏。馬とは無縁の家庭で育った彼が馬と関わるようになったのは高校入学後だ。担任がたまたま馬術部の顧問をしていた。当時の馬術部には吉澤氏と同期の部員が1人しかいなかったため、その顧問の先生に入部を勧められた。そうして入ると馬のとりこになった。

 95年には育成牧場である有限会社吉澤ステーブルを立ち上げた。人の牧場の一角を間借りして始めたが12の馬房が半分しか埋まらない苦しい門出だった。ところが開場すると何年もたたぬうちからウメノファイバーやタニノギムレットがクラシックを制覇。瞬く間に成功を収め、現在は全国3カ所の育成牧場で540頭を管理している。

 その中の1頭で、自らがオーナーなのがマスターフェンサーだ。「当歳から見ているけど特に目立たなかった」という同馬だが、米国3冠レースの最終関門ベルモントSでは有力候補になるまで成長をした。

 「40年間、馬を見てきたけど分からないものです」

 そう語るオーナーがレース後、さらに舌を巻く結果が待っているだろうか。日本時間9日早朝のレースに注目していただきたい。(フリーライター)

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2019年6月7日のニュース