【秋華賞】アーモンド、衝撃一番時計!坂路馬なり49秒7

[ 2018年10月11日 05:30 ]

坂路で追い切るアーモンドアイ(撮影・郡司 修)
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 3冠馬シンザン級のフットワークでトリプルクラウンをつかむ。「第23回秋華賞」(14日、京都)の追い切りが10日、美浦、栗東トレセンで行われ、桜花賞、オークスを制したアーモンドアイが主戦クリストフ・ルメール(39)を背に豪快な伸びを披露した。休み明けで挑む異例のローテーションだが、後肢のパワーアップは明らか。史上5頭目の牝馬3冠へ王手をかけた。

 坂路の頂上に据えられたゴール板の先には何が見えたか。アーモンドアイがすさまじいストライドで急勾配を駆け上がる。前肢の蹄の上には今秋新たに着用した「ワンコ」。前肢と後肢がぶつかるのを避けるためのプロテクターだ。そのワンコを激しく上下させ、10馬身先行したミッキークロス(4歳500万)相手に造作もなく併入に持ち込んだ。馬なりで4F49秒7。圧巻の1番時計。調教スタンドがざわめいた。

 国枝師も驚きを隠せない。「最近、後肢を強く踏み込んで前肢と“追突”するようになった。だからWコースから(前後肢の振り幅が小さい)坂路に切り替えたが素晴らしい動きだ。ほとんど追わずにこの時計だから」。主戦ルメールも馬上で顔を紅潮させた。「これでも彼女にとっては軽い追い切り。息が全然乱れていないもの。バランス、フットワーク、反応、全て良かった」と語り、満面に笑みを浮かべてこう続けた。「春よりも筋肉がさらに大きくなった。トリプルクラウンを獲れるコンディション。ビッグチャンスです」

 筋肉でパワーアップした後肢と前肢の“追突”で知られるのが戦後初の3冠馬シンザン。特殊蹄鉄(シンザン鉄)を用いたのは有名だ。「アパパネがシンザンのナタの切れ味なら、アーモンドアイはコダマのカミソリの切れ味」。国枝師は8年前に送り出した3冠牝馬アパパネとの違いを、昭和の名馬になぞらえるが、3冠挑戦の直前に見せたのはシンザン走法だった。

 ステップレースから本番に向かったアパパネとは一転、オークス優勝から中146日の直行ローテで快挙に挑む。「アパパネは使わないと太るからひと叩きが必要だった。でも、アーモンドアイは気がいいので調教だけで仕上がる。休み明けでパフォーマンスが落ちたことは一1度もない」と国枝師。シンザン記念、桜花賞はともに休み明けの勝利だった。「夏をうまく乗り切ることが3冠馬の条件だが、夏の放牧から10キロ以上も体を増やして帰ってきた。そういえばアパパネの年(10年)も記録的な猛暑だったな」

 追突の3冠馬シンザン級の名牝。ルメールは「日本で一番強い牝馬です」と言い放った。坂路の頂上に据えられたゴール板の先に見えたのは、史上5頭目の牝馬トリプルクラウンか…。

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2018年10月11日のニュース