【有馬記念】さよならブエナ 6万人に見守られ引退式

[ 2011年12月26日 06:00 ]

<ブエナビスタ引退式>スタンドに残った大勢のファンに歩み寄るブエナビスタと鞍上岩田

 希代の名牝が約3年間の現役生活に幕を下ろした。ラストランの有馬記念に臨んだブエナビスタは好位追走から伸びを欠いて7着。有終の美を飾ることはできなかったが、レース後は予定された引退式へ。この日競馬場に詰めかけたファンの半分以上、6万人が残り、拍手、声援を送った。数々のドラマを演出してきたG1・6勝馬が惜しまれつつターフに別れを告げ、生まれ故郷の北海道へ向け旅立った。

 有終Vへの期待と重圧を一身に背負って臨んだラストランは7着、ホロ苦い結果となった。

 G1・6勝馬ブエナビスタが最後の直線、馬群でもがく。伸びない。歯がゆいくらい、いつもの脚を使えない。一昨年、昨年と2年続けて2着に敗れ、三度目の正直を期した最後のグランプリだったが夢と散った。岩田が唇をかむ。「状態は良かったし、何とか最後を飾らせてあげたかったんだけど…。瞬発力勝負になって3、4コーナーでペースが上がったときはついていくのに精いっぱいだった」

 それでも、築き上げた輝かしい実績が色あせることはない。どんな場面でもひたむきにゴールを目指す、彼女らしいレース内容だった。最内枠から好スタートを切ると軽く気合をつけながらスッと好位へ。道中は流れが落ち着き、はやる気持ちを抑え切れない。結果的に緩急の対応に苦労した形。レース後、松田博師は「まずは無事に上がってきてくれて良かったわ」と安どの笑みを浮かべ、ラストランをゆっくりと振り返った。「内枠が災いしたな。スタートで出して行った分、掛かり気味になった。まあ競馬やからいろんなことがある」

 出会いは偶然だった。5年前の春、ノーザンファームを訪れた松田博師は生まれて間もないブエナビスタを目にしている。他馬の様子をうかがうはずが手違いでスタッフに引かれて出てきたのがこの馬だった。「きゃしゃやけどキレイな馬やったなあ」というのが第一印象。その子馬が08年秋のデビュー以降、大きなケガどころか全休日以外は一日も調教を休むことなく無事、競走生活を全うした。

 最終レース終了後の引退式、スタンドには6万人のファンが残った。真っ暗な本馬場でライトに照らされた女王がまた一段と輝く。その姿を松田博師は感慨深い表情で見つめていた。

 「凄い馬やったよ。去年の秋の天皇賞でスミヨンが乗って勝ったのが一番印象的。いつか子供が走るところを見てみたいな。そのためには俺が元気にしていないとな(笑い)」

 引退式を終えたブエナビスタは福島県のノーザンファーム天栄を経て、26日、生まれ故郷の北海道・ノーザンファームに向かう。初年度の交配相手はキングカメハメハの予定。早ければ産駒は2015年夏にデビューする。夢の続きを託すべく、名牝のDNAを引き継いでいく。

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