【有馬記念】黄金の池江軍団 最多獲得賞金記録更新

[ 2011年12月26日 06:00 ]

<有馬記念>レースを制したオルフェーヴルの池添(左)は検量室に戻り池江泰郎(右)と握手。後方は池江調教師

 「この馬が一番強いというところを見せてあげればいい」

 レース前のパドック。池江師は、その一言だけを告げてオルフェーヴルと池添を送り出した。わずかにあった不安も心から消えていた。「輸送で少し体重が減っていた(前走から4キロ減)が、装鞍所で馬体を見て安心した。ほぼ(4冠は)間違いないだろうと…」。その確信通り、圧倒的な強さを見せつけての勝利。「前半の展開はまずいなと思って見ていたが、向正面で外に出してからは、かわしてくれるだろうと思った。最後は3馬身くらい突き放すと思ったが、さすがは古馬でしたね。とにかく今はうれしいの一言」と勝利の味をかみしめた。

 池江厩舎の1年だった。オルフェーヴルの4冠を含め重賞11勝。年間の獲得賞金は23億8601万7000円で、04年藤沢和師の記録を抜き歴代最多となった。そんな年を象徴するように3頭出しで臨んだグランプリ。「オルフェが抜け出してからは、ワンツーがあると思ってグローリーばかり見ていた」というトゥザグローリーが3着。天皇賞・秋V、JC2着と古馬の王道路線で活躍してきたトーセンジョーダンが意地の5着を死守。有馬記念の3頭出しは過去に5回あったが、全馬が掲示板に載るのは初めての快挙。「今年は自分自身としてはいい成績を残せたが、やはり震災があった1年。微力ながら、何とか競馬で世の中を元気づけられないかと頑張ってきた」と師。上位独占とはいかなかったが、その頑張りはファンの心に響いたに違いない。

 中山競馬場で生観戦した池江師の父・泰郎氏(スポニチ本紙評論家)は「3角からの走りはディープインパクトのようだった。本当に強い勝ち方だった」と、かつて手掛けた3冠馬に例えて称賛した。父の背中を追って競馬の世界に飛び込んだ息子にとって、これ以上の言葉はない。父子の夢はディープが涙をのんだフランスへと続く。42歳の若き指揮官率いる「チーム池江」の軌跡は、まだ始まったばかりだ。

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2011年12月26日のニュース