「らんまん」最終回 寿恵子&万太郎タイトル回収再び!図鑑は「抱え切れない花束」脚本・長田育恵氏の思い

[ 2023年9月29日 08:15 ]

連続テレビ小説「らんまん」最終回(第130話)。万太郎(神木隆之介)が図鑑のページをめくっていくと、寿恵子(浜辺美波)は…(C)NHK
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 俳優の神木隆之介(30)が主演を務めたNHK連続テレビ小説「らんまん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は29日、最終回(第130回)を迎え、完結した。主人公・万太郎と妻・寿恵子が大冒険を共にし、大願だった植物図鑑が完成。モノクロのページも、2人には色鮮やかに映り「爛漫(らんまん)」と万感の思いに駆られた。第65回(6月30日)の祖母・タキに続く2度目の“タイトル回収”。脚本を担当した劇作家・長田育恵氏(46)に、物語のフィナーレに込めた思いを聞いた。SNS上には「このタイトル回収は泣ける」などの声が相次ぎ「らんまんロス」が広がった。

<※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算108作目。「日本植物学の父」と称される牧野富太郎をモデルに、江戸末期から昭和の激動の時代を生き抜き、明るく草花と向き合い続けた主人公・槙野万太郎の人生を描いた。

 最終回は、昭和3年(1928年)春、竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)が新酒を持って槙野家を訪れる。万太郎(神木隆之介)寿恵子(浜辺美波)虎鉄(濱田龍臣)千歳(遠藤さくら)千鶴(本田望結)ら家族みんなで新酒を堪能し、楽しい時間を共に。そして季節は夏。悲願の図鑑がついに完成し、掲載された植物は3206種。最後のページを飾ったのは「スエコザサ」。万太郎が見つけた新種のササに寿恵子の名を刻んだ。寿恵子への感謝と永遠の愛を誓い…という展開。

 万太郎は北海道で講演を行った帰り、東北帝国大学に招かれ、仙台へ。新種のササと出会った。

 縁側。万太郎は完成した図鑑のページをめくる。謝辞には田邊(要潤)徳永(田中哲司)大窪(今野浩喜)波多野(前原滉)藤丸(前原瑞樹)野宮(亀田佳明)ら植物学教室の面々、恩師・蘭光(寺脇康文)や博物館の野田(田辺誠一)里中(いとうせいこう)、寿恵子ら家族、夭折した長女・園子の名前もある。

 ボタン、ヒメスミレ…。夫婦の歩みがよみがえる。寿恵子は「きれい、万ちゃん。こんなにたくさんの草花。3206種。万ちゃん、爛漫ですね」と涙。万太郎も「爛漫じゃ」――。

 牧野博士の「牧野日本植物図鑑」にも3206種の植物が掲載されたが、「スエコザサ」を最後に加えた新種としたのはドラマオリジナルの展開。寿恵子の「爛漫ですね」、それに応じた万太郎の「爛漫じゃ」の台詞について、長田氏は「どこでどう使うかなど最初から予定していたわけじゃなく、最終週、最終回に辿り着いて、図鑑が出来上がったシーンを書いてみて、自然と思い浮かんだ台詞なんです。寿恵ちゃんが夢だった図鑑を目の当たりにした時、どういう気持ちになるか。図鑑を手に取るということを具体的に想像してみました。この具体というのは、3206種類の草花。それが今、生き生きと自分の手の中にあると思うと、もう本当に図鑑は抱え切れない巨大な花束ですよね。そして、その1ページ1ページには、これまで出会ってきた人たちとの鮮やかな思い出が詰まっている。万太郎と自分の人生が1冊になったという“重み”が、体感としてイメージできた時、自然と『爛漫』という言葉が出てきました」と明かした。

 第65回、タキ(松坂慶子)は万太郎・寿恵子、綾・竹雄と呉服商・仙石屋へ。万太郎は病気のヤマザクラの若い枝を切り、接ぎ木。タキは「大きゅう育つと、えいのう。楽しみじゃのう。いつか、この桜が咲き誇るがか」と万太郎や綾の子どもが生まれる未来を想像し「うん、爛漫じゃ」――。

 タキの希望は、最終章のテーマ「継承」とつながる。

 「富太郎さんが生涯をかけて集めた標本の点数は、40万点以上。後世に活用されてこそのコレクションです。万太郎の図鑑も同じで、次の世代に手渡すことができなければ、自己満足に終わってしまいます。なので、最終章は植物が種を残し、次の花を咲かすように、万太郎も“種”を後世に残していくことを重要視しました。この作品は、登場人物それぞれの人生が咲き誇る物語です。タキの『爛漫じゃ』は万太郎たちが未来に向かって咲き誇っていく想像で、図鑑を次の世代に贈った寿恵ちゃん・万太郎の『爛漫』も未来への祝福という意味で一致していると思います。万太郎が初回から『おまんは誰じゃ?』と繰り返し問い掛け、見つけてきたものを未来に託す。最終回のラストの台詞にも、その思いを込めました」

 ◇長田 育恵(おさだ・いくえ)1977年(昭和52年)生まれ、東京都出身。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。早大時代には「早大ミュージカル研究会」に所属。脚本・作詞・演出を務める。2007年、日本劇作家協会・戯曲セミナーに参加。翌08年から井上ひさし氏に師事した。09年、劇団「てがみ座」を旗揚げ。18年には「海越えの花たち」「砂塵のニケ」「豊饒の海」の戯曲で第53回紀伊国屋演劇賞個人賞に輝くなど、気鋭の劇作家。偉人や文化人などの評伝劇も高く評価される。テレビドラマはNHK「流行感冒」「群青領域」「旅屋おかえり」などを手掛け、今回、朝ドラ脚本に初挑戦した。

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