サンプラザ中野くん「盟友」に感謝「原点以外の何物でもない」 7・2「中野サンプラザ」50年の歴史に幕

[ 2023年7月2日 10:00 ]

中野サンプラザの閉館を惜しんだサンプラザ中野くん

 東京都中野区のランドマークである複合施設「中野サンプラザ」が2日、50年の歴史に幕を閉じる。数ある施設の中でもコンサートホールは「音楽の殿堂」として多くのミュージシャンやアイドルに愛されてきた。音楽人生の原点である同所にちなんで芸名を付けた歌手のサンプラザ中野くん(62)が本紙の取材に応じ「一緒にエンタメ界を生き抜いてきた盟友」と別れを惜しんだ。

 中野くんにとって同所は、初めてライブを見た音楽人生始まりの場所。1975年、ダブルデートで「チューリップ」を見に行った。「それはそれは素敵なホールだった」と興奮気味に明かす。当時千葉県に住んでいた中野くんにとっては東京を横断した“遠征”で、終電に乗り遅れて彼女の父親にこっぴどく怒られたのも今となってはいい思い出だ。

 山下達郎(70)や松任谷由実(69)ら数多くのアーティストやアイドルがライブを行い、ミュージシャンを志す人間誰もが憧れを抱いたホール。そのステージに初めて立ったのは大学時代。音楽活動を始めてわずか数カ月でアマチュアロックの登竜門「イーストウエスト」に出場した。「“たった2、3カ月でここに立てるんて、俺天才じゃないか。プロになるしかないな”って思った。中野サンプラザというステージのおかげで自分で自分を認めることができた」。中野サンプラザが持つ魔力がプロの道へと導いた。芸名は、翌年の同大会の打ち上げがきっかけ。本名の「中野」と会場名をかけて「サンプラザ中野です!」とあいさつしたところ予想外に大ウケした。

 ただ、同所で単独ライブを行ったのは1度しかない。レコード会社のスタッフに「大事な時まで取っておけ」と言われたため、2020年9月に満を持して還暦記念ライブを行った。「スピーカーの上に登ったりしていたアマチュア時代の記憶がよみがえりました」と感慨深げ。最新の音響設備が整ったホールは、音響がいいことで知られる。中野くんも「音が良かった。凄く演奏しやすかった」と絶賛した。

 新施設は、最大7000人収容の大ホールやホテルなどの複合施設「NAKANOサンプラザ」として生まれ変わり、敷地全体で「NAKANOサンプラザシティ」となる。再開発に伴って改名するか聞かれると、「サンプラザ中野シティくん。悪くないな」とニヤリ。「公募するのもありだな」とユーモアたっぷりに語った。

 「中野サンプラザは原点以外の何物でもない。ずっと心のど真ん中にいました」。街のランドマークであり続けた同所の閉館を惜しんだ。一緒に走り抜けた盟友に「素晴らしい思い出をありがとう」と感謝。「もちろんまたライブがやりたいです!」と再会を心待ちにしている。


 ◇サンプラザ中野くん(さんぷらざなかのくん)1960年(昭35)8月15日生まれ、山梨県出身の62歳。84年に「爆風スランプ」のボーカルとしてデビュー。88年に「Runner」が大ヒットした。99年に「爆風スランプ」は活動休止宣言。歌手、ラジオパーソナリティー、小説の執筆など多方面で活躍している。


 ≪山下達郎が単独公演で有終の美、新施設28年完成へ≫最終営業日となる2日はホールでの最多公演数を誇るシンガー・ソングライターの山下達郎が単独公演を行い有終の美を飾る。終了後、酒井直人区長やサンプラザ中野くんが出席する閉館セレモニーが予定されている。

 ビルの解体は24年から開始。新たに建設される複合施設は高層棟は約250メートルで現行ビルの3倍近い高さとなる。ここにオフィスや約1100戸の住宅などが入る。高さ約60メートルの低層棟にはホテルなどの入居が予定されている。総事業費は約1810億円。28年の完成を目指している。

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