「舞いあがれ!」人力飛行機滑走シーン NHK制作統括「福原遙さんの覚悟を感じた」

[ 2022年11月9日 08:19 ]

連続テレビ小説「舞いあがれ!」で舞(福原遥)が記録飛行に臨む場面(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】9日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第28回でヒロインの舞(福原遥)が人力飛行機で琵琶湖の上を飛ぶ場面が描かれた。

 制作統括の熊野律時チーフプロデューサーはこの場面に至るまでの過程について「今作の長い物語の核。舞がいろんな人と手を携え、新しいものを作り、力を合わせて空に向かって行った」と話す。

 18歳の舞は大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」に入部。人力飛行機「スワン号」のパイロットの由良(吉谷彩子)がけがを負ったため、代わりにパイロットになろうと決心した。

 記録飛行の日は2カ月後。記録に挑むため、体重を5キロ減らすこと、スワン号の動力用のペダルを190ワットで50分こぎ続ける体力をつけることが求められた。

 ドラマでは前週から、舞がロードバイクに乗ってトレーニングする姿や食事制限をして減量する姿が描かれてきた。

 熊野氏は「ロードバイクは普通の自転車と違うところもあるので、撮影前から専門家に指導していただいた。福原さんご本人も視聴者のみなさんに納得してもらえるような走行ができるよう希望していた。練習の成果で格好いいシーンが撮れたと思う」と話す。

 関係者によると、専門家が驚くほどに福原の上達が早く、練習期間は予定より早い4日間。坂道やカーブなどでもすんなりこげるようになり、トレーニングの途中に写真を撮る余裕もあったという。

 物語の中で舞は体重を49キロから44キロまで減量。演じた福原が撮影中にどれくらい体重を変化させたかは不明だが、記録飛行の日の場面は、以前より全体的にシャープになった印象だった。

 熊野氏は「実際にトレーニングしていた時期に撮影したので、体が絞られている感じだった。映像で引き締まった感じになって良かった。そこはご本人が頑張ってくれたところだと思う」と語る。

 そして、クライマックスとなる琵琶湖での飛行場面。福原はスワン号が湖の上を飛んでいる場面では安全上の問題で搭乗していないものの、滑走の場面では実際にペダルをこいだ。スタート前、周りの部員に「右翼オーケーですか?左翼オーケーですか?」と確認した上で出発の合図を送る声には、これまでにない力強さが感じられた。

 熊野氏は「トレーニングを積み、みんなと一緒にやってきた思いをしっかり背負ったからこそ出た声だった。お芝居なのだが、福原さんご本人の覚悟が感じられて感激した。部員を演じたみんなとのお芝居が福原さんの中に積み重なってあの声になったのだと思う」と話した。

 成長した舞の新たな歩みが次回から始まる。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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