「鎌倉殿の13人」上総広常“手習い伏線”にネット号泣 佐藤浩市が明かす舞台裏「童心のような希望」

[ 2022年4月17日 20:57 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第15話。読み書きの稽古に励み「これから三年のうちにやるべきこと」を書き残していた上総広常(佐藤浩市)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は17日、第15話が放送され、18年ぶりの大河出演となった俳優の佐藤浩市(61)が圧倒的な存在感を示してきた“坂東の巨頭”こと房総半島の豪族・上総広常が“非業の死”を遂げた。第7話(2月20日)から本格登場し、主人公・北条義時(小栗)の師匠的存在に。オンエア終了後、SNS上には悲しみの声があふれ返り「上総広常ロス」が瞬く間に広がった。番組公式ツイッターに佐藤の音声コメント「かまコメ(撮影直前・直後の音声コメント)」が公開され、視聴者の涙を誘った“手習いシーン”の舞台裏を明かした。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 佐藤が演じた上総広常は坂東武士団のうち、最も頼りになり、最も危険な男。2万の兵を率いる。

 挙兵した源頼朝(大泉洋)は「石橋山の戦い」で大敗。房総半島で再起を図る中、第7話、平家方の豪族・長狭常伴(黒澤光司)の襲撃からも逃れた頼朝の“強運”に、広常は参陣を決断。遅参を叱責されたが「棟梁の器にあらずと見れば、わしはあの場で討ち取り、その首、平家に差し出すつもりであった。なかなかの男よの、源頼朝」と惚れ込んだ。

 第8話(2月27日)、頼朝との酒席。三浦義村(山本耕史)から「佐殿」より尊称になる「武衛(ぶえい)」という呼び方を教えられ、以降は親しみも込め、頼朝のことを武衛呼び。第10話(3月10日)、常陸の武士・佐竹義政(平田広明)から「おまえ、老けたなぁ~」と挑発されると、カチン。即座に斬り捨てた。

 第12話(3月27日)は「亀の前事件」。政子(小池栄子)に館を壊される「後妻(うわなり)打ち」に遭った頼朝の愛人・亀(江口のりこ)を匿い「いつまで預かってりゃいいんだよ。俺に色目使ってきやがった。ああいう女は好かねぇ」と義時にボヤいた。そして、散乱した字の書き損じを義時に見られた広常は「若い頃から戦ばかりでな。まともに文筆は学ばなかった。京へ行って、公家どもに馬鹿にされたくねぇだろ。だから、今のうちに稽古してんだよ。人に言ったら殺す」と読み書きの稽古中だと打ち明けた。

 第15話は「足固めの儀式」。源義経(菅田将暉)率いる一軍が迫っていると知った木曽義仲(青木崇高)は、後白河法皇(西田敏行)を捕らえて京に籠もる。一方、都ばかりに目を向ける源頼朝(大泉洋)に対し、御家人たちが失脚を企み、鎌倉は二分。義仲の嫡男・義高(市川染五郎)を旗頭とする反頼朝派には、上総広常(佐藤)も加わった。北条義時(小栗)は御家人たちの計画を潰すため、大江広元(栗原英雄)らと連携し…という展開。

 しかし、すべては広常を脅威に感じていた頼朝の謀略だった。「最も頼りになる者は、最も恐ろしい」「敢えて謀反に加担させ、責めを負わせる。見事な策にございます」(広元)。梶原景時(中村獅童)に斬り役を命じ、さらには御家人たちの目にさらす粛清。その場は凍りつき、御家人たちは動けない。頼朝は「今こそ天下草創の時。わしに逆らう者は何人も許さん。肝に銘じよ!」と怒声を上げた。

 上総広常は、佐藤が「新選組!」で演じた初代筆頭局長・芹沢鴨役を彷彿。窮地の頼朝に手を差し伸べ、頼朝のことを「武衛(ぶえい)呼び」し、上洛に備え、読み書きの稽古に励むなど、べらんめえ口調にチャーミングさも兼ね備え、今作きっての“愛されキャラクター”となったが、陰謀に巻き込まれ、退場。視聴者からは毎週「神回」の声も上がるが、過去回を塗り替える今作最大の衝撃に包まれた。

 そして今回、広常の館にあった鎧の中のから封書が見つかる。頼朝は「子どもの字か。読めん」。代わりに義時が読み上げた。頼朝の大願成就と東国の太平のため「これから3年のうちにやるべきこと」が書かれていた。

 佐藤は「最初に、本筋とは何か全然関係のないところで、広常のキャラクターが見えるようなシーンがあったらいいね、なんてことを演出陣と話していました。それを三谷幸喜さんが聞いて、できたシーンだったんです」と手習いシーン誕生の経緯を告白。

 「どこか粗野な上総介が、全く童心のように、未来に対する希望として、それを書いている姿、やっている姿、そういう希望を無残に壊されてしまう悲しさがあると思います。実際のところ僕らは武士、もののふの生活というのは伝聞や歴史に残ったものでしか分からないので、正しいか正しくないかは別にして、僕らの世界にも常に通じるものという、そういうふうな思いとして映ればいいかなと。それがとてもうまくできたから、逆に言えば、広常のたどった運命とつながってみると、ものすごく悲しくなっているんじゃないかと思います」と手応えを示した。

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2022年4月17日のニュース