石川さゆり 故郷で50周年記念コンサート 「いま必要な歌を歌いたい」

[ 2022年3月25日 18:00 ]

コンサートを前に、熊本城をバックに、くまモンと笑顔を見せる石川さゆり
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 歌手の石川さゆり(64)が25日、故郷・熊本市の熊本城ホールで、50周年記念コンサートを開催した。

 1973年3月25日に「かくれんぼ」で歌手デビューしてから50年目。コンサートに先立ち、ホール内で記者団の取材に応じた石川は「50周年を迎えるのは、ありがたく、不思議。これからも変わることなく、みなさまに『こう来たか!』と思ってもらえる歌を歌っていきます」と誓った。

 デビュー日のことから振り返り「水前寺体育館(当時)で、集まった人たちから『頑張れ!』と励まされたのが、ついこの間のよう。ただ歌好きの少女で、無我夢中でした。高校生の終わり頃に『津軽海峡・冬景色』を歌い、おかげさまで、そこから、いろいろな歌を歌って楽しんでいただいた。いま必要な歌、届けたい歌を歌いたいと思うようになった」と述懐。

 故郷を記念コンサート開催の地に選んだ理由について、2016年の熊本地震の翌年に開催された復興支援イベントに触れ、「ボロボロの熊本城で涙を流しながら歌い、その時、50周年は熊本でスタートさせたいと思った」と説明した。

 このコンサートの旅には、89歳になる母親が同行。「母は、つえをついてやっと歩けるくらいだけれど、一緒に帰ってきました。2人で旅をするのは、何十年かぶり。一緒に墓参りをして、先祖に報告しました。最高の親孝行」と感慨無量の表情。宿泊先のホテルで母親と一緒に風呂に入って背中を流すと「幸せ、幸せ」と喜ばれたという。

 この日は50周年記念シングル第1弾「残雪」の発売日。4月20日には記念シングル第2弾「虹が見えるでしょう」を発売する。

 2カ月連続のシングル発売について「今年はみなさまにたくさん歌を聞いていただきたい。同じような歌ではなく、いろんなカラーの歌を歌いたい」と意欲。「虹が見えるでしょう」は東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦、NARGOとコラボレーションした曲で、これまでにない独特の歌声を聞かせるが、「スタジオで一緒に音を出すと、思いもしなかった自分の細胞が動きだして面白かった」と手応えを明かした。

 コンサートは昨年末のNHK「紅白歌合戦」でも披露した「火事と喧嘩は江戸の華」で幕開け。会場には10代から90代までの約2000人。「津軽海峡・冬景色」「ウイスキーが、お好きでしょ」「残雪」「波止場しぐれ」「風の盆恋歌」「天城越え」など計22曲を披露した。

 130作目のシングルとなる「残雪」は加藤登紀子の作詞・作曲で、故郷を思う曲。歌う前のトークで、ロシアの侵攻を受けたウクライナのニュースに触れ、「私たちと無関係じゃない。故郷を後にしなくちゃいけないこともある」と切実さを訴えた。

 ステージには熊本県のPRキャラクター「くまモン」がゲストで登場。くまモンが有名になる前の頃を振り返り「私が劇場で1カ月公演をした時に遊びに来てくれて、ずっと客席やロビーを歩いていた」と懐かしんだ。

 約2時間に及ぶ熱唱。「自分がスタートした地で、50周年のスタートを切ることができて本当に幸せ」としみじみ語り、アンコール曲「しあわせに・なりたいね」で締めくくった。

 今後は、5月18日にコラボ・シリーズの第4弾となる新作アルバム「X-Cross4-」を発売し、10月29日には東京・NHKホール、11月6日には大阪・フェスティバルホールで記念リサイタルを開催する予定。次の10年、20年に向けてのリスタートの年になる。(牧 元一)
 

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