宝田明さん死去 “同期生”ゴジラが追悼「レジェンド失い残念」

[ 2022年3月19日 05:30 ]

2014年7月、米映画「GODZILLA」プレミアイベントに出席し、ゴジラの模型と記念撮影する宝田明さん
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 俳優の宝田明(たからだ・あきら)さんが14日午前0時31分、肺炎のため都内の病院で死去したと、18日に所属事務所が公表した。87歳だった。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻将未(まさみ)さん。宝田さんは1954年、映画「ゴジラ」のシリーズ第1作に出演。ゴジラの公式ツイッターは「レジェンドを失ってしまった」と追悼した。

宝田さんは今月10日、エグゼクティブプロデューサーを務め、乃木坂46の岩本蓮加(18)とダブル主演した映画「世の中にたえて桜のなかりせば」の完成披露試写会に出席したばかりだった。持病の腰痛の悪化により車いすで登壇したが「5時間半あいさつしろと言われているので、皆さんも覚悟してお付き合いください」とジョークを飛ばすなど元気だった。

 敗戦直後の満州で、侵攻したソ連兵から脇腹を銃撃され、命からがら新潟に引き揚げてきた。それだけに反戦への思いは人一倍強く、舞台あいさつではロシアのウクライナ侵攻にも言及。「自由で平和な国の人々が蹂躙(じゅうりん)されている。僕たちも、もっと社会性を持った映画を作らなければいけない」と語気を強める一幕もあった。

 翌11日も3時間ほど雑誌の取材を受け、事務所関係者によると「プーチン大統領やロシアを非難していた」という。その夜に体調不良を訴えた。12日朝に救急搬送され、肺炎の症状が見られたため、そのまま入院。13日夜になって容体が急変した。病院から連絡を受け、駆け付けた将未さんらに見守られ、静かに息を引き取った。

 東宝ニューフェイス6期生として54年の映画「かくて自由の鐘は鳴る」で俳優デビュー。同年「ゴジラ」で映画初主演。以降、ゴジラと何度も“共演”し、宝田さんも「同期生」と語っていた。ゴジラは公式ツイッターで「最後までゴジラを愛し続けてくださったレジェンドを失ってしまったことは残念でなりません。心からの感謝とともにご冥福をお祈り申し上げます」と悼んだ。

 在原業平の和歌からタイトルを引用した「世の中に…」への思い入れは強く、シリーズ化の構想もあっただけに、4月1日の公開を見届けられなかった無念は計り知れない。

 長女で歌手の児島未散(54)はこの日、SNSを更新。「本日3月18日お別れをしてまいりました。父の首元にはたくさんのお花と共にミニゴジラが寄り添っていました」と報告。宝田さんは“同期生”と旅立っていった。

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2022年3月19日のニュース