直木賞作家・今村翔吾さん 勝ち負けより「記憶」に残る場面多い大会「何事も挑むことは格好良い」
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第166回直木賞を「塞王の楯」(集英社)で受賞した時代小説家の今村翔吾さん(37)が、20日に閉幕した北京五輪を振り返った。開幕に合わせた4日付スポニチ本紙に続いての登場。「記憶に残る大会だった」と、今大会で生まれた数々の名場面から新たな歴史の一幕が生まれることに思いを馳(は)せた。(聞き手・安田 健二)
勝ち負けを超えて、記憶に残る場面が多い大会でした。
スノーボードのハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢選手は見ていて凄かった。スケートボードとの二刀流を口にして最高の形で有言実行。その裏にある練習に費やした膨大な時間に思いを馳せ、「人類史上最高難度」の技に時の重みを感じました。スピードスケート女子で5種目出場の高木美帆選手は、7レース目となった最後の1000メートルで死力を尽くした末に栄光を手にした。15歳で五輪に初出場してから12年。自分を奮い立たせ、競技に費やした人生を思うと心が震えました。
歴史を振り返ると、勝負というのは不思議な運も絡み合います。実はあの織田信長もデータの上では、結構負けています。でも信長は負けた時、次のことを考えてすぐ動きだして勝ちにつなげた。負けを認める勇気がある人ほど、ここぞの場面で大きな勝ちを拾うのではないでしょうか。
まさに、カーリング女子日本代表がそうでした。1次リーグは5勝4敗。本人たちも敗退を覚悟していたのに、紙一重の差で準決勝進出。見ている方としては、こういう時に「何か起きそう」って期待してしまう。大方の予想と全く違う出来事が現実に起きた時、人は「運命」や「奇跡」を感じるんです。決勝は英国相手に惜しくも敗れましたが、記憶に残る銀メダルでした。
歴史には、時代が動きだす時の“におい”があります。僕はそれを感じ取って物語を書く。そのにおいを今回感じたのは、羽生結弦選手が世界初の4回転半に挑んだ場面。こだわらなければもっと点数は伸びていたかもしれない。でもあそこで挑む選手だからこそ、誰よりも強烈な輝きを放つ。「何事も挑むことは格好良い」という新たな時代へと向かうにおいを感じました。
羽生選手の会見で「明日の自分が今日を見た時に、胸を張っていられるようにこれからも過ごしていきたい」という言葉が凄くしっくりきました。小説家になれるんじゃないかな(笑い)。でも本当にその通りだと思う。
僕は逃げるか進むか迷った時、進むようにしています。どちらを選択しても人間って後悔するんです。ただし、「挑んだ後悔」は生きる力を与えてくれる。「逃げた後悔」は明日に向かう力を奪う。全然質が違う。
世界中の選手がメダルを競う五輪とはスケールが違うけど、作家がどこか賞にこだわってしまう感覚も近いものがあります。いずれは僕もノーベル文学賞を目指す戦いに挑んでみたい。
今大会は勝敗以外にも大きな関心が集まりました。ジャンプ混合団体では高梨沙羅選手がスーツの規定違反で1本目失格。それでも彼女は着替えて2本目に大ジャンプ。「ごめんなさい」と頭を下げたけど、挑んだことが素晴らしかった。その姿勢が尊いし僕には輝いて見えた。エースで同い年の小林陵侑選手が彼女を抱きしめたシーンも感動的でした。スピードスケート女子団体追い抜き決勝では、金メダルを視界にとらえた最終コーナーで高木菜那選手が転倒。妹の美帆選手が涙の止まらない姉を優しく抱きしめた姿にも拍手を送りたい。
世界中の注目を浴びたのはドーピング問題に揺れたフィギュアスケート女子のワリエワ選手。フリーの演技で大崩れして失意の涙を流す姿は、人々の脳裏に焼き付いたことでしょう。真相は当事者にしか分からない。ひとつだけ言えるとすれば、人間だからこそ感動するのです。ドーピングをするという行為は人間から機械になってしまう感覚を覚えるんです。それは後々「逃げた後悔」につながっていくのではないでしょうか。
誰が勝者で誰が敗者であるか。それが人々の記憶にとどまるかどうかという意味なら、後の世の人が決めることになります。信長は天下統一を夢見たが成し遂げることはできなかった。そういう意味では敗者。源義経や真田幸村も歴史において敗者です。でも現代の日本人で知らない人はいませんよね。
江戸時代の初期には「俺は信長を見たことがある!」って語っている人がいたんです。この大会で生まれた数々の場面も、後々の歴史教科書に載るような一幕があるかもしれません。重要なのは記憶を紡ぐこと。皆さんが歴史の目撃者です。(談)
≪海外勢の隠れた名場面≫日本ではあまり焦点が当たらなかったが、海外勢の“隠れた名場面”もあった。ノルディックスキー距離男子15キロクラシカルで優勝したニスカネン(フィンランド)はゴール後、フィニッシュラインにとどまり、2位以下94人全員(棄権を除く)のゴールを称えた。ショートトラック女子3000メートルリレーでは金メダルを手にしたオランダが表彰台で天に向かって投げキス。20年に27歳で死去した仲間にささげたものだった。今村さんは「10年、20年たってから“あのオリンピックで隠された秘話があった”みたいな特集がメディアで組まれるかもしれませんね」と期待を寄せた。
◇今村 翔吾(いまむら・しょうご)1984年(昭59)6月18日生まれ、京都府出身の37歳。関西大卒。ダンスインストラクターなどを経て、2017年「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」で作家デビュー。2022年「塞王の楯」で第166回直木賞受賞。TBS「Nスタ」でコメンテーターを務める。大阪府箕面市の廃業危機の書店を引き継ぎ経営。
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