21年版「日本沈没」悩み続けた小栗旬「届ける意味 ずっと模索」会議シーンなど「本当にくたびれました」

[ 2021年10月10日 05:00 ]

TBS日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」小栗旬インタビュー

日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」の主演を務める小栗旬(C)TBS
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 俳優の小栗旬(38)が主演を務めるTBS日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」(日曜後9・00)は10日、25分拡大でスタートする。小栗の同局看板枠への主演は11年ぶり。野心家の一面もある環境省官僚・天海啓示(あまみ・けいし)役を演じる。原作に大きくアレンジを加え、環境問題を鮮明に描く2021年バージョンへの思いを小栗に聞いた。

 原作は小松左京による不朽の名作SF小説「日本沈没」。1973年に刊行された翌年にはTBSでテレビドラマ化され、以降も映画・アニメ・漫画など様々な形で語り継がれてきた。

 今回は、原作も扱った題材「環境問題」を2021年バージョンとして鮮明に描く。原作に大きくアレンジを加え、舞台は2023年の東京。国家の未曽有の危機に瀕(ひん)してなお、一筋の希望の光を見いだそうとひた走る究極の人間ドラマがオリジナルのキャラクター&ストーリーとして展開される。

 脚本は「華麗なる一族」「獣医ドリトル」「LEADERS リーダーズ」などの橋本裕志氏。演出は「インハンド」「ノーサイド・ゲーム」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」などの平野俊一氏ら。

 撮影は今春に終了。クランクアップが迫る今年4月上旬、小栗の合同インタビューが行われた。

 ――オファーを受けた時の印象は。

 「お話を頂いたのはコロナ前でしたが、今年は東日本大震災から10年ということもあり、日本という国に生きている限り、ある意味、避けるのが難しいテーマ。今、もう一度、危機や災害、環境について考えるきっかけになる作品になればいいなと思いました。何より全体のロングプロットが非常に面白かったので、是非参加したいというのが一番最初の気持ち。ただ、その後、コロナ禍になり、皆さんが疲弊している中、この作品を届ける意味は何なのか、ずっと模索しながら撮影していました」

 ――日曜劇場主演は11年ぶり。

 「日曜劇場は、熱いドラマを作っているイメージです(笑)。前回から『もう11年なんだ』という感じ。当時は、とにかくがむしゃらに取り組みました」

 ――サブタイトル「―希望のひと―」の通り、「希望」がテーマの1つ。

 「このストーリーから希望を見いだすということは、かなり難しいと思います。日本という国に生きている限り、いつ起こるか分からないことに対して、常に個人個人が危機感を持って対策していけないといけない。だから、この作品がどういうふうに視聴者の皆さんに伝わっていくのか、どういうふうに受け取っていただけるのか、すごく不安もあります。それと同時に、視聴者の皆さんに何かしらの希望を抱いていただける作品になればいいなと願って作ってきました。どういうふうに届くのかは、作品が出来上がって、放送が始まってみないと分かりません。視聴者の皆さんそれぞれの感じ方がありますから、やはり非常に難しい題材だと思います」

 ――共演者の印象は。

 「(天海と大学の同期・常盤役の松山(ケンイチ)くんとは(04年の東海テレビ「リターンマッチ~敗者復活戦~」以来)17年ぶりの共演。やっぱり、もの凄く魅力的な人。今回の役柄と同じように、非常に助けてもらいました。(週刊誌記者・椎名役)杏さんはとても明るい方。初共演でしたが、現場で他愛のない話もさせてもらい、元気を頂きました。役としては、最初は環境省の腐敗を暴こうとしていますが、天海との関係性も変わっていくので、演じていて楽しかったです。(東山首相役の仲村)トオルさんは定期的に共演の機会を頂いていて、今回は熱血総理にピッタリだと思います。(地震学者・田所役の)香川(照之)さんは“ザ・日曜劇場”という方なので(笑)、とにかく心強かったです」

 ――印象に残る撮影は。

 「(東山首相が“未来の日本”を見据えて発足し、各省庁の優秀な若手官僚が集まった)日本未来推進会議のシーンはいつも撮影が大変。膨大な分量なので、役者のことを考えないスケジュールだなと思いながら、現場にいました(笑)。危機に瀕して対策を練るシーンの連続で、常に追われているという状況の物語。終始しんどかったです。気持ちの切り替え?切り替えるのが難しかったので、この作品は本当にくたびれました」

 ――自身が危機に直面した時は。

 「時と場合によりますが、あまり深刻に考えないようにはしているかもしれません。深刻に考えすぎると、心が疲れてしまうので。流れに身を任せる感じにしているかもしれないです」

 ――視聴者へのメッセージを。

 「撮影しながら、ずっと悩み続けていたので、『お楽しみに』というのも少し違う気がします。原作が刊行され、映画化された当時(1973年)は日本の成長期で『危機感を持て』というフィクションとして成立したと思いますが、今回は日本を取り巻く状況が当時と大きく異なる中、この作品を届けることになります。環境問題をはじめ、何かを感じて、考えていただくきっかけになれば、うれしく思います」

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2021年10月10日のニュース