乙武洋匡氏 激しい賛否の中での五輪開幕 中ぶらりんの心の変化 楽しんでみようと思う

[ 2021年7月24日 05:30 ]

五輪開会式をテレビで観る乙武洋匡氏
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 【乙武洋匡 東京五輪 七転八起(1)】問題だらけで開幕した東京五輪。「五体不満足」「四肢奮迅」などの著書で知られる作家、乙武洋匡氏(45)が転がり続ける平和の祭典を独自の目線で切り取る連載「東京五輪 七転八起」。第1回は「中ぶらりんで迎えた開会式」です。

 こんなはずじゃなかった…。2013年にブエノスアイレスで招致が決まった時には、まさかこんな感情でオリンピックを迎えることになるとは思ってもみなかった。本来なら腹の底から湧き上がる高揚感や全ての毛穴から噴き出すようなアドレナリンを感じながら、この祝祭を迎えるはずだった。しかし、新国立競技場がド派手な花火に彩られても、スタジアムを照らす色鮮やかなプロジェクションマッピングを目にしても、私の心が躍ることはなかった。

 いつまでも収束する見通しが立たないコロナの感染状況に加えて、開会式に携わるはずだったメンバーの過去が次々と批判を浴びたこともあり、いまだに「こんな状況でオリンピックなんてやれるはずない」という声も聞こえてくる。その一方で、「選手に罪はない。精いっぱい応援しよう」という声も聞こえてくる。

 正直、今でも私の心は揺れている。冒頭でも触れたように、夢にまで見た自国開催のオリンピックを手放しで喜ぶことができているかと言われれば、そこまでの心情には至っていないのが本音だ。しかし、人生でまたと訪れることがないだろうこの機会を、斜に構えてやり過ごしてしまうことにも抵抗がある。

 ネット上ではこれまで五輪賛成派と反対派が激しい応酬を繰り広げてきた。どちらの心情も理解できるだけに、私は両者の間で中ぶらりんの状態でいる。だからこそ、その中ぶらりんの自分の心が、この2週間を通してどう動いていくのかを楽しんでみようと思う。

 アスリートの活躍に心躍らせる日もあるだろう。運営などに対して批判的な感情を抱く場面があるかもしれない。そうして閉会式を終えた時にどんな心情に至っているのか、自分でも全く想像ができないだけに楽しみでもある。2週間、日々の心の動きを率直につづっていくつもりだ。

 ◇乙武 洋匡(おとたけ・ひろただ)1976年(昭51)4月6日生まれ、東京都出身の45歳。「先天性四肢切断」の障がいで幼少時から電動車椅子で生活。早大卒業後、スポーツライターとして活躍。00年シドニー、04年アテネ五輪などを取材した。

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