ホラー漫画家・日野日出志「描いたのを覚えてない」幻の自著集発売

[ 2021年5月6日 10:17 ]

イカロス出版から発売される「日野日出志 あなたの知らない!怪奇漫画集」
Photo By 提供写真

 「蔵六の奇病」「地獄変」「赤い蛇」などで知られる怪奇漫画の巨匠、日野日出志さん(75)の450以上に及ぶ作品から“隠れた傑作”13本を収録した「日野日出志 あなたの知らない!怪奇漫画集」(寺井広樹さん著)があす7日、イカロス出版から発売される。税別1700円。

 1967年にデビューし、来年で画業55年を迎える日野さん。読み切り短編を数多く発表しているが、掲載誌が多岐にわたるため単行本に収録されなかった作品も多い。今回の漫画集には、日野さん自身が「こんな作品ありましたっけ」と忘れていたものも収録されている。

 それでも、いずれ劣らぬ傑作ぞろいで「のっぺらぼう」は、自身のスタイルを模索中の若き日野さんの姿を垣間見ることができる。「おかしなおかしなプロダクション」は、かつて日野さんが目指したギャグ漫画家のテイストが色濃く表れている。「濡肌牡丹血染刺青」は男女のまぐわいと愛憎を、他作品では見られない直接的な表現で描いている。

 日野さんは「『蔵六の奇病』のように命を懸けて描く作品は、生涯で何度も描けない。450作品全てに命を懸けてはいられない。ご飯を食べるために描いた作品があるのは否定できない」とコメント。怪奇漫画を数多く手掛けた「ひばり書房」で描き下ろし単行本を発表するだけでなく、「週刊漫画アクション」などの青年誌や「週刊少年サンデー」などの少年誌、ギャグ漫画誌やエロ雑誌でも作品を発表してきた。

 商業主義に則った作品の大量生産ともいえるが、日野プロダクションの共同設立者で今回の本の著者である寺井広樹氏は「それでも私が読んだ全ての作品には明確な日野イズムが流れていて、私の記憶に強烈に刻み込まれている」としている。

 今回収録された作品は、掲載誌の特性に合わせながらも、日野作品の特徴である生理的嫌悪感に訴えるグロテスク描写や、不条理に訪れる不幸、恐ろしくも悲しい人間の情念がにじみ出る作品ばかり。作品ごとに寺井さんの解説がついており、日野ワールドがより深く理解できる1冊となっている。

【掲載作】「のっぺらぼう」(1969年)、「女の箱」(1972年)、「おかしなおかしなプロダクション」(1973年)、「濡肌牡丹血染刺青」(1975年)、「セミの森」(1975年)、「地獄へのエレベーター」(1975年)、「太郎とブラック小僧」(1976年)、「性ルスマン異聞」(1979年)、「ブラック紳士」(1982年)、「花ざかりの森」(1986年)、「餓鬼地獄」(1986年)、「生首屋敷」(1987年)、「白魔」(1988年)

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