「刑事コジャック」「紅の豚」で声優…森山周一郎さん死去、朝ドラ「エール」出演が最後の仕事

[ 2021年2月10日 05:30 ]

俳優の森山周一郎さん
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 米ドラマ「刑事コジャック」や映画「紅の豚」の声優で、俳優としても活躍した森山周一郎(もりやま・しゅういちろう、本名大塚博夫=おおつか・ひろお)さんが8日午後9時10分、肺炎のため埼玉県内の病院で死去した。86歳。愛知県出身。葬儀・告別式は近親者のみで営む。お別れの会は予定していない。

 所属事務所によると、森山さんは昨年12月初めに自宅で転倒して大腿骨と腰を骨折し、手術を受けた。入院中に、以前から悪かった肺の状態が悪化し、1月下旬には危篤状態に。この時は持ち直したが、8日夜に容体が急変し、息を引き取った。昨年のNHK連続テレビ小説「エール」の出演が最後の仕事となった。

 1953年、研究生として劇団東芸に入団。時代劇やアクション作品で個性の強い悪役を演じる一方で、渋い低音の声を買われ、60年代から洋画の吹き替えで活躍。仏俳優ジャン・ギャバンさんや米俳優チャールズ・ブロンソンさんら、ハードボイルドが似合う俳優の声を多く担当した。

 75年に始まった米ドラマ「刑事コジャック」シリーズでは米俳優テリー・サバラスさん演じる主人公の声に起用され、当たり役に。役者としても成功していたため、顔と声が一致して認識されるスター声優の草分け的な存在だった。

 スタジオジブリのアニメ映画「紅の豚」(92年)では主人公のポルコ・ロッソの声を担当。CMでは「ブランデー、水で割ったらアメリカン」(サントリー)や「う~ん、マンダム!」(マンダム)のナレーションがお茶の間で親しまれた。

 大の中日ファンとしても知られ「われらマスコミドラゴンズ会」の名誉会長も務めた。愛知県立犬山高時代は野球部の投手。芸能関係者と野球チームも組み、午前中に2試合をこなすほどの野球好きだった。

 モットーは「生涯現役」。92年公開の映画「幻想のParis」以来の監督作を生み出すことに意欲的だったという。所属事務所の森本優子代表は「どんな仕事でも引き受け、温かくて前向きな人でした」としのんだ。

 ◆森山 周一郎(もりやま・しゅういちろう)本名大塚博夫。1934年(昭9)7月26日生まれ、愛知県出身。劇団東芸入団の翌54年に舞台「長女」でデビュー。フジテレビの時代劇「三匹の侍」(63~69年)やドラマ「100億の男」(95年)などに出演。悪役や黒幕、老紳士の役など幅広く演じた。日本テレビ「知ってるつもり?!」などでナレーターとしても活躍。ゴルフ好きとしても知られ「芸能文化人ゴルフ同好会」の代表も務めた。

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