藤井―広瀬戦終盤のドラマ “さばきのアーティスト”久保九段が解説

[ 2020年11月3日 05:30 ]

王将戦挑戦者決定リーグ

久保利明九段
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 将棋の第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負で渡辺明王将(36)の対戦者を決める挑戦者決定リーグは2日、東京都渋谷区の将棋会館で2局を行い、藤井聡太2冠(18)は広瀬章人八段(33)を122手で下し、2勝目を挙げるとともにリーグ残留の可能性をキープした。

 藤井―広瀬戦を王将4期の久保利明九段(45)が解説した。劣勢の終盤、藤井が見せた10代らしからぬ勝負術を称賛した。(構成・筒崎 嘉一)

 戦型は角換わり腰掛け銀になりました。戦型自体、先手が攻めて後手が守る展開になりやすく、先手の広瀬八段が網を破れば勝ちという将棋。形勢は二転三転しながらもイーブンへ戻るレベルの高い将棋だったと思います。

 そして104手目△7一歩(A図)に広瀬八段は▲5四桂と銀を取って包囲網を築きましたが、▲4八金と角を取って自陣へ手を戻せば△7二歩▲8八王以下の勝ちでした。

 さかのぼって102手目△4八角の局面は藤井2冠が劣勢です。広瀬八段の▲4七金であえて角が取られる状況にしてさらに△7一歩と金取りに。「どれを取りますか?」と相手に問うて局面を複雑化させました。すでに1分将棋の藤井2冠に対し、広瀬八段は残り7分。攻めもあるし受けも…と相手に選択肢を与えて悩ませ持ち時間を削る、ベテランのような勝負術と感じました。

 将棋はいつの時代も最後に間違えた方が負けます。昨年、勝てば王将戦挑戦権獲得の大一番で戦った両者。今年も終盤にドラマがありました。

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