羽生九段“前人未到”タイトル100期挑戦!10・9開幕、豊島竜王と7番勝負

[ 2020年9月20日 05:30 ]

丸山忠久九段(手前)を破り、感想戦で対局を振り返る羽生善治九段
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 将棋の第33期竜王戦7番勝負挑戦者決定3番勝負は19日、東京都渋谷区の将棋会館で第3局を行い、羽生善治九段(49)が99手で丸山忠久九段(50)を下し2勝1敗となり豊島将之竜王(30)への挑戦権を獲得した。勝てば前人未到のタイトル通算100期に到達する注目の7番勝負は、10月9日に都内で開幕する。

 99手目で竜を1マス横に滑らせる羽生の右手は、明らかに震えていた。勝利を確信した際に自然発生する独特の生理現象。「序盤から力戦模様。手探りの展開で…」。全力疾走を終えたばかりの短距離走者並みに息を整えながら激闘を振り返る。「竜王戦の挑戦者になれて非常に良かった。終わったばかりなので気持ちの準備ができていないが、開幕までにしっかり調整したい」。肩の荷を下ろしたような表情を浮かべた。

 振り返れば3年前の竜王戦。99期目の戴冠者となり、大台に王手をかけてからが苦闘の連続だった。翌18年は名人挑戦、棋聖と竜王の防衛に3連続で失敗。無冠となった19年はタイトル戦出場すらかなわなかった。「考えなければいけないことが多すぎて。果たして最近の将棋を理解しているのか。後れを取らないようにしたかった」。気が付けば藤井聡太2冠(18)に代表される若手の台頭が著しい。黙っていればフェードアウトする状態で羽生は踏みとどまった。

 27日には50歳となる。竜王戦7番勝負に50代の棋士が出場するのは初めてだ。「大きな記録がかかるシリーズ。その舞台にふさわしい将棋を指したいですね」

 その前には、22日に行われる第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグ開幕戦が控えている。対戦相手は藤井だ。「リーグは開催間隔が詰まっている。こちらも棋力を充実させていこうと思います」と静かに闘魂を燃やしていた。(我満 晴朗)

 ▽将棋のタイトル戦 タイトル保持者と挑戦者が、5番勝負または7番勝負で優勝を争うプロ公式戦。竜王戦、名人戦、叡王戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦があり、8大タイトル戦と呼ばれる。挑戦者決定方法は、1年をかけて行われるリーグ戦やトーナメントで決まる。通算タイトル獲得数の1位は羽生九段の99期で、歴代2位は故大山康晴15世名人の80期。

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