“ラスボス”豊島名人・竜王も驚く急成長 藤井新棋聖“常識外れ”の成長法とは

[ 2020年7月16日 20:00 ]

大阪市の関西将棋会館で午前9時に始まった第91期棋聖戦5番勝負第4局に挑む挑戦者のに藤井聡太七段(提供・日本将棋連盟)
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 【記者の目】世間以上に棋界は驚いている。藤井聡太七段の急成長に対してだ。渡辺から棋聖位を奪った今、ゲームの最後に待ち構えるボスキャラ「ラスボス」的存在の豊島将之竜王・名人(30)は言った。

 「いつ獲ってもおかしくないし、いずれとは思ってましたが、思ったより早かった」。そう祝福した後、自身との対局へ向け「成長していくスピードが(周りと)違う。どうしたらいいのかな」と戸惑いに似た言葉をつないだ。藤井に過去4戦負けなしの第一人者も認める成長力。同様の光景を3年前、我々は確かに見たはずだ。

 四段になって迎えた2016年、加藤一二三・九段戦から始まるデビュー以来の29連勝。プロ入り後の「第1次成長期」がこの連勝中とするなら、「第2次成長期」がコロナ禍で6月2日まで対局がなかった52日間だろう。忘れがちだが棋士と学生の二刀流。その間、将棋一本で取り組めたのではないか。

 デビュー当初から光ったのは終盤での強さだった。詰将棋解答選手権5連覇が示す、相手王を詰ます能力。将棋はどれだけ大差がついても一方が投了するまで勝利は確定しない。野球なら10点差が開く内容でも、3点を追う9回2死満塁が延々続く。一打逆転が常にあるから抜き出た終盤力は本当に心強い。

 一方、序中盤には、経験不足による粗さがあった。それが、最近は改善傾向。多くの棋士が指摘するのが「仕掛けの巧みさ」。先手必勝でペースをつかみ、そのまま勝ち切る将棋が増えた。隙がなくなった。

 この急成長を支えるのは、相手の研究や得意戦法に飛び込んでいく姿勢だ。勝利を求めるなら、相手の得意戦型を避けるのが当たり前。藤井はあえて、そこに飛び込んで最善手や対応策を取り込む。最も学習効果の高い実戦という舞台で、相手の強みを吸収しているのだ。この“常識外れ”とも言える成長法は羽生善治九段のスタンスに近い。

 史上最年少の14歳2カ月でプロ入りした後も成長を続け、史上最年少の17歳11カ月でタイトルを奪った藤井。今年度を終える頃、3冠もありうるのではないか。(筒崎 嘉一)

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