挑戦し続けた19年のテレビドラマ SNSと連動 視聴率が跳ね上がるケースも

[ 2019年12月29日 09:00 ]

2019年のドラマで主演を務めた(左上から時計回りに)「3年A組-今から皆さんは、人質です-」の菅田将暉、「あなたの番です」の田中圭、「初めて恋をした日に読む話」の深田恭子、、「監察医 朝顔」の上野樹里、「G線上のあなたと私」の波瑠、「わたし、定時で帰ります。」の吉高由里子
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 2019年のテレビドラマは“挑戦作”が特に多い年だった。

 チャレンジ精神が最も視聴率に結びついたのが日本テレビ。1月期に放送した菅田将暉(26)主演「3年A組-今から皆さんは、人質です-」は、旬の若手キャストが多く出演したことや、“フェイク動画”などのSNSの弊害をストレートな表現で分かりやすく描いたことで、若い視聴者を刺激。最終回では15・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同じ)の高視聴率をマークした。

 次クールの田中圭(35)、原田知世(52)主演「あなたの番です」もその流れを受け継いだ。同局では25年ぶりとなる2クール放送に加え、途中視聴者や“ながら視聴”には向かない謎解きミステリーに挑戦。中盤で主人公の1人が亡くなるという衝撃的な展開、2部構成によって新キャラクターが登場するなど、2クールの放送だからこそできた構成や話題作りが奏功。誰が犯人なのかを予想する“考察”もSNS上で流行し、初回8・3%から最終回では19・4%と跳ね上がった。SNSを使って多くの視聴者を巻き込み作品を深く味わうという、現代だからこそできたドラマ体験をこの作品が示してくれたと言っていいだろう。

 生田斗真(35)主演「俺の話は長い」も意欲的な挑戦作だった。毎回1話30分×2本という、ユーチューブなどで短尺動画が主流となりつつある中での放送スタイルに加え、最近では珍しくなったホームドラマにチャレンジ。引っ越しや転職、将来の夢など、日常的なテーマを、会話劇を中心にしたコメディータッチで描いた。大きな事件が起こらなくても全編を飽きさせずに見せた手腕は見事で、今後のドラマ作りに影響を与える作品となった。

 めっきり少なくなった恋愛ドラマに挑戦し続けたのがTBS。火曜午後10時放送の「火曜ドラマ」枠では、4作品中3本が恋愛ドラマだった。1月期の深田恭子(37)主演「初めて恋をした日に読む話」はライトなラブコメディー、7月期の吉高由里子(31)主演「わたし、定時で帰ります。」は、主人公の恋愛ととともに現代の多様な“働き方”のあり方を映し出し、先日最終回を迎えた波瑠(28)主演「G線上のあなたと私」は、年齢も境遇もさまざまな登場人物の恋愛と人間愛を描いた群像劇となっており、どれも色合いの違うものだったが、一貫して恋愛に挑戦し続ける姿勢は崩さなかった。

 フジテレビの“月9”は今年、流行中の刑事や医療ものにフジらしいエッセンスを加えた作品が目立った。7月期の上野樹里(33)主演「監察医 朝顔」は1話完結の事件ものをベースにしながら、震災のエピソードを絡め、懸命に生きる人間ドラマを深く描いた。一時期の低迷から復調傾向にある月9だが、これからさらなる挑戦が続く気配がする。

 2020年は東京五輪。選手がメダルに、記録に挑戦するように、ドラマの世界でも新たな挑戦があった、といわれる年になるのか注目が集まる。

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2019年12月29日のニュース