悩ましい外国人受け入れ 望まれる国民が納得する議論、決定

[ 2018年11月30日 10:00 ]

入管難民法などの改正案を可決した衆院本会議=27日夜
Photo By 共同

 11月6日に行われた米中間選挙は、何かと話題の米トランプ大統領のおかげで?日本でも話題を集めた。ちょうどその中間選挙に合わせ、中南米諸国から米国への移民を目指す大集団、通称キャラバンが移動を始め、トランプ大統領はメキシコとの国境に警察を大量に配備するなど緊張が高まった。トランプ大統領にとっては「だから国境に壁を作るべきだと言ったじゃないか」といったところだろうか。

 中間選挙の直前、米国に滞在する機会があり、知人と選挙、キャラバンについて話をした。知人は共和党支持者。トランプ大統領には「子どもがそのまま大きくなったような人物」と厳しいが、移民問題に関する政策は支持するという。

 「民主党はキャラバンでやって来る不法移民を受け入れ、食料品を買うクーポンを発行したり、家を与えたりする。みんなわれわれの税金だ」とまくしたてる。「助けなければいけない人は確かにいる。でも合法的にこの国にやって来て、米国人になろうとしている人もたくさんいる。みんな順番を待っているんだ。不公平だと思わないか?」と詰め寄られた。

 知人いわく、仕事がない移民には割合に手厚い保護があるという。

 「スーパーに行くと、こっちは1セントでも安いものを探すのに、彼らは値段も見ずにカートに品物を入れている。クーポンがあるからさ」という。失業層のすべてがこういう状態ではないだろうが、ミドルクラス層は自分たちが納めた税金が不法に入国してきた移民に使われることに敏感になっている。

 知人は「日本は海に囲まれているから、移民は簡単に入ってこられない。日本は地理的にいい条件でうらやましい」と話した。

 その日本では出入国管理法(入管法)改正案が衆議院で可決され、参議院でも審議が始まった。人口減少、高齢化で深刻な人手不足への対応のため、外国人労働者を受け入れるというもの。細部を詰めずに法案を通そうとする与党に、野党は猛反発している。

 これからの日本は、外国人労働者がいなければ成り立たない状況だ。米国のように、移り住んできた外国人が非難の対象になるようでは大変。国民が納得できるかたちでの議論、決定が望まれる。

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2018年11月30日のニュース