介護とおカネ…芸能一家でも例外ではない生活の困窮

[ 2018年10月28日 11:30 ]

安藤和津
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 介護とおカネ。高齢社会で切り離せない問題は華やかな芸能一家も例外ではなかった。

 「介護ってお金が掛かるもんだって痛感しました」。タレントでエッセイストの安藤和津(70)は、実母の荻原昌子さん(享年83)の在宅介護と看取り、昨年暮れまで続いたうつ病についてつづった新著「“介護後”うつ」(光文社)の出版会見でこう振り返った。

 夫は俳優の奥田瑛二(68)だけに、世間からすれば“お金に困っていない”という先入観があるかもしれない。だが、実際は昌子さんが06年4月に旅立つまで13年におよんだ介護生活でかなり困窮していた。

 安藤がうつを抱えても仕事を休めなかったのは家計が火の車だったから。2000年に製作された奥田の初監督映画「少女」は、国際的に高い評価を得ながら興行が大赤字。そこに介護が拍車を掛けていた。

 「24時間体制でヘルパーを頼んだ時は1日3勤交代で、深夜料金も発生する。交通費も負担しなければなりません。寝たきりになってからは入浴介助もお願いしていました」と介護サービスを受ける費用は膨らんだ。

 映画監督の長女・桃子(36)、女優の次女・サクラ(32)は当時まだ学生。安藤は英国留学していた桃子の学費が払えないほどに追い込まれていた。高校生だったサクラにいたっては3年間、同じ制服を着せたまま。卒業式でセーラー服の白線が真っ白な同級生の中で、愛娘だけがすり切れた白線の制服を着ていたのを見て胸を痛めたという。

 利用者負担を軽減する介護保険制度が施行されたのは2000年。それ以前から介護者になっていた安藤は「どのような制度があるかどうかを調べる余裕がなく、提案してくれる人も周りにいなかった」と振り返る。実際、同制度の施行前は公的サービスの整備が十分ではなく、95年には全国紙で父親を在宅介護するために月30万円以上負担していた男性がいたことが報じられた。

 公益財団法人「家計経済研究所」(17年解散)の調査によると、2016年の在宅介護費用の平均は月6万9000円。介護の専門家が集まる「地域包括支援センター」が中学校の学区1つにつき1カ所が設けられており、総合相談窓口として機能している。環境が整備されてきたからこそ、安藤は「1人で抱え込まないでほしい」と心身を疲弊させないために頼るべき人には頼ることを勧めた。(安田 健二)

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