加藤剛さん次男が明かす“師匠”への思い “最期まで憧れの父だった” 3月にがん発見も復帰目指し闘病

[ 2018年7月10日 05:30 ]

胆のうがんで亡くなった加藤剛さん
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 映画「砂の器」やドラマ「大岡越前」で知られた俳優の加藤剛(かとう・ごう、本名たけし)さん(享年80)が6月18日に死去していたことが本紙報道で明らかになった9日、次男で俳優の加藤頼(らい、37)が都内で取材に応じた。死因は胆のうがんで、3月末に進行した状態で発見されたという。芝居への情熱を持ち続け、最後まで復帰を目指していた。9月22日に所属劇団の本拠地である東京・六本木の俳優座劇場でお別れの会を開く。突然の悲報に芸能界も悲しみに包まれた。

 頼によると、加藤さんが3月末に「体調が良くない」と訴え、病院で診察を受けたところ、進行した状態の胆のうがんが発見された。「みんなに迷惑がかかるから」と家族以外の誰にも知らせず、入院治療をした。退院後は別の療養先に移り、最後まで舞台復帰を目指して闘病した。

 亡くなった6月18日は朝から会話もでき、普段と変わらなかったが、容体が急変。午前10時11分、家族にみとられながら眠るように息を引き取った。頼は「静かに苦しまず、表情も、とても穏やかだった」。故人の意向で葬儀は家族葬で営まれ、棺には家族写真が納められた。

 最後の父子の会話は4日前の14日。頼が15〜17日に埼玉で舞台出演があることを伝えると、剛さんは「仕事ができていることは幸せなこと。心配かもしれないけど、気にしないで務めてきなさい」と送り出した。

 言葉ではなく背中で見せる優しい父親で、「一度も怒られたことがない」という。自分に厳しく、他人に対してはいつも敬意を持って接していた。「年下の役者の舞台を見て“凄いな”と言う。上に立って芝居を教えるスタンスを取ったことがない。むしろ“どう見える?”とアドバイスを求めてくる」と、初心を忘れずに常に全力で役に挑んでいた。

 頼は父に憧れて役者を目指し、同じ俳優座に入った。「何度も共演して、貴重な経験をさせてもらった」。最後の共演は、昨年1月放送のNHK―BSプレミアムの時代劇「大岡越前」スペシャル。頼がレギュラー出演していた同作に、TBSの「大岡越前」で親しまれた加藤さんがゲスト出演した。「父が何度も撮影した京都で、大岡越前という作品で、同じカメラの前に立てた。時間がたてばたつほど、大切さが身に染みると思う」とかみしめた。

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